天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
じっと黎士を見つめていると、訴えたいことでもあるように見えたのか、不思議そうな顔をした。

「頭痛薬、処方しようか?」

「あ、いえ。大丈夫です。温めればよくなりますし、いつでも横になれますから。……仕事に就いたら、頭痛薬頼みになるかもしれませんが」

以前働いていたときも、頭痛が酷い日は痛み止めを使っていたのを覚えている。

仕事に復帰したら、そう簡単に休むわけにはいかないので、薬を飲む機会も増えるだろう。

「次の検診のときに、片頭痛の治療も並行して進めよう。どのくらいの頻度で頭痛になるかも知りたいから、痛みが出たときは教えてくれ。記録しておく」

「助かります。……お休みの日までお仕事をさせてしまってすみません」

「休みの日に妻の看病をするのは当たり前だ」

「妻ではなく、婚約者、です」

「……婚約者の看病をするのは当たり前――もうどっちでもよくないか?」

黎士は隙あらば新婚だの妻だの口にするが、厳密にはまだ入籍していない。

祖父が嫁ぐよう指示したにもかかわらず入籍を強制しないのは、藍衣の心の整理がつくまで待ってくれているのではないか――そう思っている。

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