天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「まだ俺のこと、夫として見られないか? そりゃあ仕事で忙しくて、一緒にいる時間はなかなか取れないが」

週六で勤務、残業はデフォルト、その上、しょっちゅうオンコールで呼び出されて、朝まで帰ってこない日もしばしば。救急車の音が聞こえるたびに黎士のスマホが震える始末。

白薔薇は労働環境がかなりいい方だが、それでも優秀な医師であるほど診療や手術の依頼が殺到して忙しくなりがちだ。

ほかの医師では手の打ちようがない患者をすべて引き取る立場にある。忙しくなるのは致し方ない。

「仕事については、よく理解しています」

彼が仕事ばかりでも、医療の現状をよく知る藍衣なら寛容になれる。むしろ仕事以外の時間すべてを藍衣に費やす姿は心配になるほどだ。

(仕事にストイックで、婚約者にも一途――って、パートナーの条件としてはこの上ないけれど)

条件だけ見れば、黎士を婚約者として拒む理由はない。気になるのはただひとつ。

「朱璃姉さんとのこと。そろそろお話ししてくれませんか?」

黎士自身が姉を『傷つけた』と明言したこと。そして父が彼を〝仇〟だと口にしたこと。

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