天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「藍衣ひとりじゃ行かせられない。俺も行く」

「ですが……黎士さんこそ大丈夫なんですか? 姉さんとは会わない方がいいのでは」

「お姉さんは嫌な顔をするかもしれないけれど、だからって藍衣をひとりにはできない。その別邸まで、それなりに距離があるんだろ?」

彼の言う通りで、別邸まで片道三時間、しかも車でなければ行きづらい場所だ。

「まあでも、それはそれとして。今はその頭痛を治さないと」

そう言って藍衣の腕を掴むと、強引に引いて自身の膝の上に転がした。俗に言う、膝枕だ。

手を首筋に回し、それを支えるようにもう片方の手で耳のあたりを押さえる。

「へ!? あの、ちょっとっ……!」

混乱する藍衣をよそに、彼が指先を立てて首筋を揉む。マッサージは心地いいが、この体勢はまったくリラックスできないし、至近距離で顔を覗き込まれては落ちつかない。

「そこまでしていただかなくてもっ……大丈夫ですから!」

「治療の一環だから、不満は受け付けない」

頬にあたる親指が、するりと藍衣の肌を撫でた。

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