さようなら、お別れしましょう
23 私にできること(3)
私とハリルで用意した木の札。
外に並ぶ人々のほうへ向かい、先頭の人から順番に木の札を渡す。
「どうぞ。あなたが一番目です」
「これはいったい……?」
町役場の窓に紙をはった。
言語が違っていてもわかるように、絵で時間帯を表した。
太陽と鶏の絵の隣に一から二十の文字を書いた。
その次は、昼食の絵、次はお茶の絵と想像できやすい絵にした。
「二十番以降の方は昼食後に来てください。ここで並んで待つ必要はありません」
「本当にか!?」
「この札があれば、昼食後でいいんだな……?」
「はい。そうです」
木の札を手にした人たちは、大切そうに札を荷物の中へしまう。
「札は役場へ来た時、受付でお渡しください。この名簿に名前を記入してくださいね。札と一緒に名前を確認させていただきます」
「助かるわ! これで子供たちがぐずらずに済むわね」
「観光しよう! 買い物したかったんだ!」
「朝食を食べずに並んでいたからな。これで、なにか食べられるぞ」
ハリルがやってきて、さらに後方の人たちへ札を配っていく。
「役場の入り口に、各番号の受付時間が書いてあるぞー!」
役場の窓に、時間帯がわかる絵が描かれた紙が張り出された。
さっきまで重苦しく、疲労感が漂う空気だった人々に笑顔が生まれた。
「これで、他の仕事ができる! シャルク・ホジャで仕入れがあるんだよ!」
「子供たちを連れて、待ち時間の間に観光をしましょう」
人と荷物が通りから消え、人通りがスムーズになった。
町役場の中は人の数が減り、静かになった。
列の管理に人をとられず、イライラした人が受付で騒ぐこともなく、全員がスムーズに自分の仕事をこなすことができた。
「仕事がはかどる!」
「今日は昼食が食べられそうだ!」
「静かに書類を処理できるなんて、ありがたい……」
手続きをしに来た人が、受付で木の札を受け取っていく。
そして、私が線を引いていた紙には、名前と入国許可証を確認した印を書き、次にやってきた時には、すぐに手続きに取りかかれるようにする。