さようなら、お別れしましょう
24 私にできること(4)
「レフィカ、大丈夫か?」
ジグルズ様の声にハッと我に返り、お茶会の招待状を封筒へ戻した。
「妃としての仕事が書かれてあっただけですわ。数日間だけ王都へ行ってまいります」
今まで妃として、イーザック様から言いつけられた仕事はなかった。
私が勝手にやっていたことばかりだ。
だから、メリアのお茶会が貴族令嬢たちと話す機会になる。
――しっかりしないと! メリア主催のお茶会といえど、これは初めて王妃として与えられた仕事なんだから、務めを果たさなくては!
そして、二通目の封筒を開ける。
「これは、イーザック様からのお返事ですね」
「イーザックに手紙を書いたのか?」
「はい。念のため、引っ越しの許可をいただきました」
左胸に手をあてて、私が言うと、事情を知るジグルズ様はうなずいた。
【契約】にある『王女の逃亡』に触れないためである、
「そのほうが安心だな」
今まで、イーザック様に宛てた手紙を何通も書いたけれど、返事をもらえなかった。
別居したほうが、すんなり返事をいただけるなんて、ちょっと複雑な気持ちになる。
けれど、封筒を開けて中を見ると、納得の内容。
私の笑顔のまま、その場に固まってしまった。
『勝手にしろ』
私への返事はたった一言だけ。
『勝手にしろ』とだけ書いてあった。
手紙を開封するたび、私の様子がおかしいので、とうとうジェレンが、手紙を背後からのぞきこんだ。
ジェレンが破り捨てそうな勢いで怒り出した。
「『勝手にしろ』だけしか書いてない手紙なんて、初めて見ましたわ! 相手がグランツエルデ王とはいえ、あんまりな態度です!」
「それはさすがに……」
ジグルズ様は苦笑した。