さようなら、お別れしましょう
 でも、わたくしにはこの庭をレフィカ様に見せるまでは、変える気にはならなかった。

 ――今日やってくるレフィカ様が、いったいどんな顔をするか見たいわ。

 わたくしはにっこり微笑んだ。

「ええ。間違いなくてよ。お茶とお菓子、ケーキがあるでしょう?」
「で、でも……お花がなくて……」
「それに、枯れていて……」

 さっきまで、あんなにおしゃべりだった令嬢たちが、とても静かになった。
 
「どうかなさって? 目障りなものがなくて、《《綺麗》》でしょう?」

 青ざめた顔で、令嬢たちは立ち尽くす。
 さっきまで明るくおしゃべりしていた令嬢たちは震えていた。
 これを一緒に楽しめないなんて、なんてつまらない人たち。
 興覚めもいいところだ。

「この庭を見て、陛下はなんておっしゃったのですか?」
「わたくしが満足しているのですから、陛下はなにもおっしゃいませんわ」
「メリア様が庭をこんな姿になさったのですか?」
「ええ。グランツエルデにふさわしくない庭でしたから、わたくしが直々に手入れしましたのよ」
「メリア様が……」

 令嬢たちはおしゃべりどころか、息をひそめ、暗い顔をした。

「お茶をどうぞ」
「お菓子もございます」

 侍女たちが気遣い、令嬢たちに声をかけたけれど、誰も手を伸ばさなかった。
 そんな失礼な令嬢たちに対して、侍女たちは顔色一つ変えない。
 ベルタの教育がしっかり行き届いている。
 そして、ベルタは険しい目つきで、令嬢たちに目を光らせていた。
 わたくしを裏切ったり、陰口を言うような令嬢がいないか、監視しているのだ。

「皆さん、どうかなさって? なにかおかしいところがあったかしら?」
「いっ、いいえっ! さすがメリア様!」
「とても綺麗な庭ですわ」

 扇子をパチンと閉じ、令嬢たちに微笑んだ。

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