さようなら、お別れしましょう
26 困った二人
 「メリア。約束通り、お茶会に来たぞ」

 イーザック様はメリアを見ていた。
 二人は愛し合っているから当たり前とはいえ、私と令嬢たちの間に気まずい空気が流れた。
 私の前を通り過ぎ、イーザック様は愛しいメリアの前に立つ。
 メリアはイーザック様にわざとらしく寄り添い、横目で私を見てくすりと笑った。
 イーザック様はそんなメリアの表情に気づいていない。

 ――大丈夫。こうなることはわかっていたから。

「お前が招待に応じるとは思わなかった」

 イーザック様はにこりともしないで、私に冷たい言葉をかけた。
 令嬢たちがメリアの味方であるのもわかっている。
 侍女のジェレンが、王宮前で待たされ、入れてもらえなかった時点で、覚悟していた。

 ――これは罠で、私は一人。

 でも、なんとかしなくてはならない。
 まだ私は【契約】を無効にする方法を手に入れておらず、メリアに正妃の地位を奪われたら、命を落とす――そんな状況だ。
 深呼吸し、私は微笑んだ。

「お茶会に招かれるのは、初めてですから、嬉しく思いましたわ」
「ふん。嘘をつけ。俺の顔を見るのも嫌だろう」
「まあっ。それは、わたくしを見るのも嫌ってことですの?」
「そんなつもりで言ったのではありません!」

 ――なぜ、そうなるの?

 私は感謝の意を伝えただけで、悪意は少しもない。

「それに今日、私が王宮へまいりましたのは、イーザック様にお礼を申し上げるためです」
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