さようなら、お別れしましょう
 むしろ、枯れた花は、大地のいいコヤシになってくれるだろう。

「メリア様。私はイーザック様の気を引こうだなんて、少しも考えておりません。お二人に幸せになっていただきたいと考えております」

 私は心からの言葉で言った。
 それなのに、イーザック様はムッとし、メリアはにらんできた。

「では、わたくしが正妃になりたい言ったら、あっさり譲られるのかしら?」
「正妃は譲れません……」
「ほら、やっぱり嘘だわ! イーザック様をわたくしから奪おうとしているのよ!」
「レフィカが? そうなのか?」

 イーザック様はメリアに言われて、そんな気がしてきたのか、私のほうをちらっと見る。

「違います!」
「レフィカ様。正直になったほうがよろしいですわ。イーザック様を愛していらっしゃいますのね」

 ――違う、違うのに!
 
 どう頑張ってもナナメ上へ向かう二人。
 せめて、正妃をメリアに譲りますと言えたら、違っていたのだろうけど、そんなわけにはいかない。
 そもそも、イーザック様は【契約】の中身を知っていて、私がメリアに譲れないとわかっているはずなのだ。
 
 ――それなのに、なぜ、私があなたを好きだと勘違いを!?

 この勘違いをなんとかしなくてはと思うけど、私の話を二人はまともに聞く気があるのかどうか謎である。
 そう思っていると、怯えていた令嬢たちが突然、黄色い声を上げた。

「あれはゼリヤ様!?」
「どうして、ゼリヤ様がこちらへ!」
「なんて麗しいお姿……!」
 
 現れたのは、男物の宮廷服を着たゼリヤだった。
 女性のはずが、その姿はとてつもない美男子ぶり。
 しかも、令嬢たちは乙女なポーズをしている。
 彼女たちは貴族令嬢だというのに、『ゼリヤ《《様》》』呼びなのも気になった。

「ゼリヤ、どうしてここへ?」

 私が驚いていると、ゼリヤは私の手を取り、にっこり微笑んだ。
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