さようなら、お別れしましょう
 令嬢たちが『ずるーい!』『わたくしにもご挨拶を~!』『こちらを向いて笑って!』なんて騒いでいる。

「ジグルズ様に命じられ、レフィカ様をお迎えに上がりました」

 そう言ってから、ゼリヤはイーザック様にお辞儀をした。

「陛下、申し訳ございません。レフィカ様は公爵補佐官としての仕事がありますので、これで失礼いたします」

 ゼリヤは有無を言わせない空気を放ち、イーザック様を圧倒する。

「公爵補佐官だと?」
「はい。役職をいただいております」
「お前は俺の妃だろう? 役職につくとはどういう……」

 イーザック様は最後まで言えなかった。
 メリアが泣き出したからだ。

「さきほどから、イーザック様はわたくしを無視して、レフィカ様ばかり気にしていらっしゃいますわ!」

 大声で泣き出したメリアに、イーザック様は動揺した。

「無視などしていない!」

 ゼリヤは胸元のハンカチをメリアに差し出した。
 
「メリア様はご気分が悪いのではないのでしょうか。お部屋へ戻られたほうがよろしいのではありませんか?」
「そのようだな……」
 
 イーザック様はまだ私に、なにか言いたそうな顔をしていたけれど、情緒不安定なメリアをこのままにはしておけない。
 令嬢たちもまた、お茶会を楽しむどころか、早く帰りたいという雰囲気を漂わせている。
 メリアが開いた王宮主催のお茶会はうまくいかなかったようだ。
 悔しそうに唇をかんでうつむくメリアとイーザック様の苦々しい表情が、それを物語っていた。
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