さようなら、お別れしましょう
 そして、おどおどしながら、ゼリヤに言った。

「ゼリヤさん。俺たちは下っ端に過ぎないけど、ジグルズ様に時々、王宮に来てほしいって思ってるんだ」
「陛下は真面目で立派な方だと思う。けど、ジグルズ様はやっぱり違うんだよな……」

 兵士たちをゼリヤが一喝した。

「あなたたちが仕えているのは、誰ですか? 陛下でしょう! しっかりなさい!」
「ひえ! は、はいっ!」
「す、すみません!」

 ゼリヤは怒りながら、私たちのほうへ戻ってきた。

「まったく情けない。レフィカ様、ジェレンさん。お待たせしました。馬車に乗りましょう」
「ええ。ありがとうございます」
「ゼリヤさんはお強いですわね。兵士よりも立場は上ですの?」

 ジェレンが驚いた顔で尋ねると、ゼリヤは笑った。

「私は異国の人間ですし、地位はそこまで高くありません。私に遠慮するのは、ジグルズ様の配下だからでしょう。昔、ジグルズ様と共に兵士を助けに行ったことがあるんです」
「つまり、ジグルズ様とゼリヤは、彼らの命の恩人というわけですか?」
「いえ、私はジグルズ様の命令に従っただけです。助けが必要だと気づいたのは、ジグルズ様です。今回も、私に王宮へ向うよう命じたのはジグルズ様です」

 ――ジグルズが私を助けるために、ゼリヤをここへ?

 手紙を読んでいた私の様子がおかしいと察し、ゼリヤを向かわせたのだろう。
 でも、ジグルズ様が私を助けたところで、なにも見返りはない。
 むしろ、イーザック様からの印象が悪くなった気がして、申し訳なく感じた。

「信用を得るどころか、迷惑をおかけしてしまいましたね……」
「レフィカ様。ご心配なく。ジグルズ様からご伝言を預かっております。『これはただのお節介だ。すべての責任は自分にある』とのことです。ジグルズ様のお節介はいつもこと。気になさる必要はないと思いますよ」

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