さようなら、お別れしましょう
「え、ええ。もちろんですわ。わたくしはイーザック様を愛してます。幼い頃から、イーザック様を想ってきたのは、わたくしだけだとご存じでしょう?」
「ああ。俺のことが、一番好きだと言い続けていたのは、メリアだけだ。だが、最近のメリアはおかしい。以前のメリアに戻ってくれ」

 ――以前のわたくし? それは、あなたにとって都合のいい女になれということ?

 いつも、わたくしからイーザック様に声をかけ、手紙を書き、会う時も負担にならないよう自然に会えるタイミングを狙った。
 わたくしはあなたの邪魔にならないよう気をつけてきた。
 でもそれは、結婚さえすれば、イーザック様はわたくしを大事にしてくれるかもしれないと、期待していたからだ。

「仕事へ戻る。メリア、招待した令嬢たちに、謝罪の手紙を書いて送っておくように」
「謝罪? わたくしは妃ですのよ!?」
「王宮のお茶会を楽しみにしていたはずだ。招待された者たちはがっかりしただろう」

 ――わたくしがレフィカ様に頭を下げるなんて、冗談ではないわ!

 頭を下げるのは、わたくしではなく、レフィカ様でしょう?

「それから、メリア。俺の妃なら二度と今日のような失敗はするな。母上が主催していたお茶会では、考えられん雰囲気の悪さだったぞ」

 しかも、イーザック様はお義母様とわたくしを比べた。
 
「わからないのであれば、母上に教えを乞え」
 
 わたくしに心ない言葉をかけ、イーザック様はいつもの政務に戻られた。
 廊下にはわたくしだけになり、イーザック様の靴音すら聞こえない。
 一歩も動けず、その場に立ち尽くしていた。
 わたくしの計画では、今ごろ楽しくお茶会をしていて、レフィカ様が気まずい顔で一人孤独にいたはずだったのだ。
 
「わたくしにレフィカ様と令嬢たちに謝罪の手紙を送れと? お義母様に教えを乞えと?」

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