さようなら、お別れしましょう
「これだけ人が多くて、新しい建物も次々できていますし、迷子も増えますよね」
 
 成長途中のシャルク・ホジャには、新しい建物だけでなく、道も増えている。
 そして、興味を引く異国の商品がたくさんある。
 異国のガラス細工、織物や香炉、木製の工芸品んなどが、シャルク・ホジャに集まり、それを商人が買いつけて、各地で売られるのだ。

「子供だけじゃなくて、大人も珍しい品物を見ていて、はぐれる人が多いんです。それに人さらいもいるから気をつけないと……」
「ひっ、ひとさらい!?」
 
 ハリルの言葉に女の子の顔が青ざめた。

「あっ! おれたちは違うよ。手を繋いでるのは、この国のお妃さまなんだぞっ!」
「お妃さま!?」
 
 女の子は泣くのも忘れ、私をじっと見つめた。

「ほんとだぁ……。きれい……」
「えっ!? そうですか?」

 褒められなれてないせいか、びっくりしてしまった。
 ドーヴハルク王宮では、みすぼらしいだとか貧乏臭いとしか言われたことがなかった。

「お姫様みたい。だって、レースのリボンつけてるし……」

 泣いていてもリボンや服に興味があるのは、やはり女の子だから――私も異母姉たちの綺麗なドレスやアクセサリーに憧れた。
 髪のリボンをほどき、女の子の手首に巻く。
 
「これで、お姫様になりましたね」
「お姫様のレースのリボン……」
「これは、泣かない約束のリボンですよ」
「泣かない! 約束する!」

 やっと女の子は少しだけ笑った。
 リボンを見て頬を染め、嬉しそうに眺め、歩く足どりも軽くなる。
 運河沿いの船がたくさん着けてある場所に、人だかりができていた。
 荷の検査をしているらしく、町役場の人と――

「あっ! ジグルズ様!」

 ハリルは一目見て、すぐにジグルズ様がどこにいるか見つけた。
 ジグルズ様は私たちに気づくと、こちらに向かって微笑んだ。
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