さようなら、お別れしましょう
「ハリル。レフィカと町の見回りか?」
「はいっ! レフィカ様と町の平和を守っていましたっ!」

 嬉しそうな顔で、ハリルはジグルズ様のところへ駆けていく。
 ジグルズ様は人だかりの中にいても、ひと目でわかる。
 髪に美しい織物の布を巻き、無地の長い上衣とズボン、サンダルという軽装だったけど、海色の宝石と銀の装飾が高貴さを際立たせている。
 グランツエルデ王国のものではない服装だったけど、異国の人が多いシャルク・ホジャでは、違和感なく溶け込んでいた。

「ジグルズ様、こんにちは。お仕事ですか?」

 ――私のライバル!
 
 その姿をまじまじと観察した。

「ああ……。この服か? これは友人の国へ旅した時によく着ていてな。楽な上に涼しい」
「髪に巻いている布もですか? とても綺麗な布ですね」
「この髪に巻いてある布は、夜の砂漠で役に立つ。寒くなったら、体に羽織れて便利なんだ」
 
 ジグルズ様を見つめたのは、服装がこの国のものと違っていたからではなかったけれど、私の視線がそちらへ向いていると勘違いしたらしい。

「万能な布なんですね。ジグルズ様は砂漠がある国に、仲のいいお友達がいるんですか?」
「……ああ」

 今、不自然な間があったような気がした。
 ジグルズ様の部屋に飾られていた地図を思い出す。
 たしか砂漠は、ここよりも南に行ったところにあった気がする――もしや、イレーネお姉様の嫁ぎ先に関係しているとか?

「それで、レフィカ。その子供は?」
「あっ!? え、えーと、迷子になっていたんです。それで、町役場に連れて行こうと思って、一緒に歩いていました」
「なるほど。俺もちょうど町役場へ寄るところだった。町役場まで歩きながら、探してみよう」
 
 そう言うと、ジグルズ様は他の人に後を任せ、女の子をひょいっと抱きかかえた。 

「どうだ?これで、見つけやすくなっただろう」
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