さようなら、お別れしましょう
「好きにしろ。だが、気をつけろよ。メリアに嫉妬し、なにをするかわからない」
「まあ! わたくしを心配してくださるのですね。平気ですわ。わたくし、レフィカ様と仲良くできますわ。あなたの妻ですもの!」

 純粋で心が美しいメリア。
 メリアは、レフィカと仲良くなれると思っているようだ。

「ご歓談中、失礼いたします。メリア様はもっと警戒するべきですわ。相手は野蛮なドーヴハルク人。簡単に信じないほうがよろしいでしょう」

 メリアに昔から仕えている侍女のベルタが、険しい目をして言った。

「そうだな。ベルタの言う通りだ」
「でも……」
「メリアは優しいな」

 泣きそうになったメリアを見て、ベルタはうなずく。

「メリア様はとてもお優しい方です。残忍なドーヴハルク人と比べるまでもございませんわ」
 
 ベルタは主が心配だったようで、忠告を終えると深く頭を垂れ、サッと後ろへ下がった。
 会話中、我慢できずに入ってきたのは、主であるメリアを心配してのことだ。
 ベルタの反応が、普通の反応である。 
 我が国の北の地をを奪ったドーヴハルク王国。
 その恨みは深い。
 
「野蛮人めが」
「野蛮人とは、レフィカ様のことですか?」

 メリアに言われ、レフィカの姿を思い出し、『野蛮人』であるかどうか考えた。
 ドーヴハルク王国は北の蛮族だったが、国を手に入れてから変わった。
 グランツエルデ王宮を真似て、ドレスや調度品などをすべてグランツエルデ風にしたという。
 異国の人間でありながら、たしかにレフィカは、グランツエルデ流の礼儀作法を身に付けていた。
 そのせいか、レフィカから野蛮さは、いっさい感じられなかった。

「……ドーヴハルク人だ」

 そう答えると、メリアは表情をこわばらせた。

「今、イーザック様はレフィカ様を庇いましたわね」
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