さようなら、お別れしましょう
 今、地図に描けなかった詳しい情報は、私だけでなく他の人も知りたいはずだ。
 前もって、情報を手に入れておけば、短い滞在であっても、効率よく町を回れる。
 絵筆を手に、うーんと首をかしげた、

「事前に詳しい町の情報がわかれば、助かると思うんですよね……」
「事前に? でも、事前にどうやって伝えるんですか?」 
「他の町に行って、私たちがおしゃべりするわけにはいきませんし」
 
 使用人たちも同様に考え込んだ。
 そこへジグルズ様がやってきた。

「レフィカ、この間、貸してほしいと言っていた本を持ってきたぞ」
「ありがとうございます」

 私がジグルズ様に借りたのは、南方の国々についての本だった。
 ジグルズ様が持っている本は、気候や地理に関する本で、詳しい情報はない。
 それでも、イレーネお姉様がいるかもしれない南方を知っておきたいと思った。

「レフィカは大陸の南方について知りたいのか?」
「そうです。行ったことがないので、不安ですが、いずれ行きたいと思ってます」
「それなら、俺が一緒に行って……」

 ジグルズ様は言葉の途中で、私が簡単に国から出れないことに気づいた。
 私の心臓には【契約】が刻まれている。
『王女の逃亡を禁ずる』に触れたら命を落とす。
 だから、私はイーザック様の許可がない限り、どこにも行けない。

「他国へは行けませんが、シャルク・ホジャに来れて、毎日楽しく過ごしていますから、大丈夫です」
「そうか……。それならよかった」

 でも、ジグルズ様に案内してもらえたなら、色々な情報を聞けて、すごく勉強になったと思う。

「ジグルズ様はレフィカ様のそばにつきっきりね!」
「やっぱり、ジグルズ様は……」
「しっ! あんまり言うと、ジグルズ様は照れてレフィカ様と距離を置くかも!」

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