さようなら、お別れしましょう
 ジグルズ様は誰もが無料で、案内本を読めるようにしたいと考えているようだ。  
 目につくところに置いてもらえたら、手に取る機会も増える。
 ジグルズ様はうなずいた。

「そうだな。案内本が完成したら、他の町の宿屋や食堂の店主たちに、俺から手紙を書いて頼んでみよう」
「はい! お願いします! あのっ……! みなさんも案内本作りに協力していただけますか?」
「もちろんですわ!」
「おれもおすすめの場所がたくさんあるよっ!」

 わぁっと歓声が上がった。
 ジグルズ様がみんなの様子を見て笑った。

「レフィカが来てから、屋敷の者たちは楽しそうにしているな」

 侍女たちはジグルズ様に言った。

「それはそうですよ! ジグルズ様が連れてくるのは、いかつい戦士みたいな男とか、犬とか猫……」
「私たちは長くジグルズ様のお世話をしていますが、元々はこんな異国のお屋敷ではなかったですよね?」
「そうそう。ジグルズ様が気になるものをどんどん購入されて、異国の物を増やしたんですよ。人も物も、胡散臭いものばかり……その点、レフィカ様は美人ですし、着るものを選ぶのも楽しいっ!」
「わかるっ! わかるわぁ~! 髪のセットもやりがいがあるの! ジグルズ様は髪に布を巻いて、服装も異国のもの……」
「仕事はやりがいよね! レフィカ様がいらしてくれたおかげで、ようやく私たちの真の力が発揮される時がきたんですよ!」

 侍女たちは日ごろの鬱憤がたまっていたらしく、一気にまくしたてた。
 ジグルズ様は気まずそうに、侍女たちからスッと目をそらした。
 完璧な方だと思っていたら、昔からジグルズ様を世話してきた侍女たちにとっては、そうではないらしい。

「ジグルズ様はいつも人を助けている方だから、お屋敷でもそうなのかと思ってました」
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