さようなら、お別れしましょう
「そんなもの、なんだというんだ」
「イーザック。それは俺がレフィカに頼んだ仕事だ。せめて、地図を作り終わるまで、王宮へ連れ戻すのを待ってほしい」
ジグルズ様が止めると、イーザック様はまずます気に入らないようで、じろりと私をにらんだ。
けれど、それは長く続かなかった。
なぜなら――
「イーザック。少し気になることがある」
「気になること?」
「ああ。少し前から、レフィカの周辺で、怪しげな女を見かけるようになった。黒髪に黒い目をした女だ。心当たりはないか?」
イーザック様は目に見えて動揺していた。
「俺には心当たりがない。イーザック、お前はどうだ?」
怪しげな女で、黒髪に黒い目、イーザック様の周囲にいる人。
私が思いついたのは、一人しかいなかった。
――もしかして、ベルタ? いいえ、でも、そんな人はたくさんいるだろうし……
ちらりとイーザック様の様子をうかがうと、落ち着かない様子で、動揺しているのがわかる。
「イーザック。お前はレフィカが命を狙われているのではないかと思ったから、ここへ来たんだろう?」
「私をですか!? なぜ、そんな……」
メリアが命を狙っているかもしれないと、私に言いたくないのか、イーザック様は私から目をそらした。
「イーザック、真面目なお前のことだ。仕事を優先し、妻を放置していたんじゃないのか?」
「そんなことはない! 夏の休暇の約束をした!」
夏の休暇は数ヵ月先で、しばらくやってこない。
私とジグルズ様は沈黙した。
「結婚式も挙げてないようだが」
「それは大臣たちが、まだ早いと……」
大臣たちの目的は子供である。
メリアが懐妊したら、正式に妃として王家に迎える算段でいる。
大臣たちは計算高く腹黒い。
「レフィカに嫉妬し、思い詰めているのなら、お前ができることは、相手を安心させてやることだ」
「イーザック。それは俺がレフィカに頼んだ仕事だ。せめて、地図を作り終わるまで、王宮へ連れ戻すのを待ってほしい」
ジグルズ様が止めると、イーザック様はまずます気に入らないようで、じろりと私をにらんだ。
けれど、それは長く続かなかった。
なぜなら――
「イーザック。少し気になることがある」
「気になること?」
「ああ。少し前から、レフィカの周辺で、怪しげな女を見かけるようになった。黒髪に黒い目をした女だ。心当たりはないか?」
イーザック様は目に見えて動揺していた。
「俺には心当たりがない。イーザック、お前はどうだ?」
怪しげな女で、黒髪に黒い目、イーザック様の周囲にいる人。
私が思いついたのは、一人しかいなかった。
――もしかして、ベルタ? いいえ、でも、そんな人はたくさんいるだろうし……
ちらりとイーザック様の様子をうかがうと、落ち着かない様子で、動揺しているのがわかる。
「イーザック。お前はレフィカが命を狙われているのではないかと思ったから、ここへ来たんだろう?」
「私をですか!? なぜ、そんな……」
メリアが命を狙っているかもしれないと、私に言いたくないのか、イーザック様は私から目をそらした。
「イーザック、真面目なお前のことだ。仕事を優先し、妻を放置していたんじゃないのか?」
「そんなことはない! 夏の休暇の約束をした!」
夏の休暇は数ヵ月先で、しばらくやってこない。
私とジグルズ様は沈黙した。
「結婚式も挙げてないようだが」
「それは大臣たちが、まだ早いと……」
大臣たちの目的は子供である。
メリアが懐妊したら、正式に妃として王家に迎える算段でいる。
大臣たちは計算高く腹黒い。
「レフィカに嫉妬し、思い詰めているのなら、お前ができることは、相手を安心させてやることだ」