さようなら、お別れしましょう
36 この町で過ごす最後の日(1)
 眩しい朝日で目覚めた。
 気づけば、私の体には毛布がかけられていて、そばにはジグルズ様がいた。
 ぼんやりしながら、周囲を見回すと、地図はほとんど仕上がり、自分が作業の途中で眠ってしまったのだとわかった。
 そして、広間の扉をがっちり閉め、怖い顔をしたゼリヤとジェレンがいる。
 二人は王宮の門番よりも強そうだ。

「ゼリヤ、ジェレン? いったいなにして……?」

 二人の視線を追って、私は自分の隣に目をやる。
 平和そのものの顔で眠るジグルズ様がいた。

「ひっ、ひえっ!? し、死んでしまう?」

 激しい動機に襲われ、ジグルズ様から遠ざかった。
 これは死の予感!
 でも、私の記憶では、ジグルズ様と一緒に眠った記憶はない。
 つまり、私が先に眠ってしまったということで、これは後から、ジグルズ様が毛布をかけてくれたという親切。

 ――ちょっと死にかけた気がしますけど、親切ですよね?

「死ぬって……だれが……?」

 ジグルズ様は髪をかきあげ、眠そうな顔で朝日を見る。

「あぁ……、なんだ、朝か」
「『なんだ、朝か』ではありません!」
 
 ゼリヤの叱責する声が広間に響いた。
 ジグルズ様も怒られる時は怒られるらしい。

「ゼリヤ、待て。これは誤解だ」

 一緒に毛布をかぶっていた意外、特になにもなかった。
 でも、厳しいゼリヤの追及には、いかにジグルズ様であっても逃げられない。
 ジグルズ様は苦笑しながら、髪をかきあげた。

「朝になる前にいなくなるつもりだったんだが……」
「ジグルズ様。しっかりご説明していただいてよろしいでしょうか?」

 胸の前に腕を組んだゼリヤの威圧感に負けて、ジグルズ様は説明する。

「これは、レフィカが作業の途中で眠ってしまったから、俺の部屋から毛布を持ってきてかけてやったんだ」

 ゼリヤはそれでも疑いのまなざしを向けていた。

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