さようなら、お別れしましょう
「では、なぜ一緒に?」
「おい……。なんの尋問だ。一人で作業を続けていたが、俺も途中で眠ってしまっただけで……」

 箒を手にしたジェレンが、ずいっと前に出た。

「ジェレン!? その箒で、まさかジグルズ様を殴り倒したりしませんよね!?」
「ジグルズ様のことは信用しております。ですが、誤解されるような真似は控えてくださいませ」
「悪い……」
「ごめんなさい。私も軽率でした……」

 深く反省していると、広間の扉をドンドン叩く音がした。

「レフィカが部屋にいない。ここにいるんだろう? 鍵を開けろ!」

 扉の向こうから、イーザック様の声が聞こえてきた。
 ジェレンとゼリヤがいるとはいえ、私とジグルズ様は寝間着姿に近い軽装だ。
 明らかに身支度を整えていないとわかってしまう。
 こんな姿でいたら、絶対に誤解される。

「ここは私にお任せを。ゼリヤさん、お二人の身支度をお願いします」
 
 ジェレンは着替えを用意や朝の身支度に必要なものをしっかり持ち込んでいた。
 扉の隙間がないようジェレンは扉の外に出ていった。
 
「レフィカ様はすでにお仕事中でございます。なんのご用件でしょうか?」
「侍女に断らなくては、妻に会えないのか?」
「おかしいですわね。レフィカ様が陛下にお会いする際は、侍従を介さねば会えないとうかがっております。 《《夫婦だったのに》》会えませんでした。侍従はどちらでしょうか?」

 今までの仕返しとばかりに、ジェレンの嫌みがイーザック様に襲いかかる!

「なっ!? 仕方ないだろう。俺は忙しい身。妻に合わせて行動できるか!」
「それで、手紙のお返事を書かなかったのですか? 一文字も? 王ですもの、文字は当然、ご存じですわよね?」
 
 一年分の手紙の件だろうけど、ジェレンはあの時の屈辱を思い出してか、イーザック様に容赦のない言葉を浴びせた。
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