さようなら、お別れしましょう
「あれは、実際に行動しなければ、王の力が発動しないとわかっていたからだ」

 そう言われて、私は父から聞かされた【契約】を思い出してみる。

 『王女を正妃として迎える』
 『王女の逃亡を禁ずる』
 『領土を奪わない』
 『妻の不義』

 私が知っているのは、この四つである。
【契約】は全部で五つ。
 
「そう言われたら、『妻の不義』だけ、行動がはっきりしていませんね」
「そういうことだ。ドーヴハルク王の力の発動には、明確な行動が必要だと、我々の調べで明らかになっている」

 リュザール王家の策略で、イレーネお姉様を正妃に迎えた。
 そして、その後、ドーヴハルク王の【契約】がどんなものであるのか、イレーネお姉様を助けるため、詳しく調べていたようだ。

「『妻の不義』が行動によって発動するのであれば、危うい発言はしないほうがいいと判断した。それで、口を塞がせてもらったというわけだ」
「あ、ありがとうございます……。私は命拾いしたのですね……」
「礼はいい。ジグルズが悪い」

 カリム様はジグルズ様に容赦なかった。

「ジグルズは自分の強さを過信しすぎていた。だから、こうなったのだ」
「おい、カリム……。いい加減にしろ。レフィカに俺の悪口を言いすぎだ……」

 いつから話を聞いていたのか、ジグルズ様がうよろめきながら上半身を起こし、ベッドに手をついた。

「ジグルズ様!」

 ジグルズ様はさすがに傷口が痛むのか、手で傷口をおさえ、顔をしかめた。



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