さようなら、お別れしましょう
 わかっていたこととはいえ、イレーネお姉様を知るカリム様から教えてもらい、ホッとした。

「それで、イレーネお姉様は元気に暮らしているのでしょうか?」
「ああ。元気でいる。レフィカがグランツエルデ王国へ嫁いだと聞いて、ずっと心配していた」

 優しく賢いイレーネお姉様は遠くにいても、私をずっと見守ってくれていたのだ。

「俺はジグルズがいるから、心配ないと言ったんだが、嫁いだ相手がグランツエルデ王だったからな……」

 カリム様がちらりとジグルズ様を見た。
 ジグルズ様は『話していい』というように、カリム様にうなずく。

「イレーネが心配していたのは【契約】に関することだ。確認したいことがある。レフィカはすべての【契約】を知っているか?」
「いいえ、父から五つある【契約】のうち、四つを教えられて嫁ぎました」

 四つと聞いて、カリム様は表情を曇らせた。

「四つか……。【契約】は全部で五つある。イレーネが嫁いできた時、こちらはその【契約】をすべて知っている状態だった」
「でも、【契約】は王と王によって交わされると聞いています。王だけが内容を知っているのではなかったのですか?」
「リュザール王国は違う。父上は家族全員に教えた」
「家族全員に!?」

 リュザール王国は一夫多妻制であり、その子供を合わせると、なかなかの数になる。
 家族全員と簡単にカリム様は言ったけれど、すごい人数である。

「リュザール王国は一族の繋がりが強い。問題が起きた場合、一族全員で対処し解決する」
「リュザール王家はすごいぞ。王の力を最初に捨てたのはリュザール王家だ。彼らは血縁者の誰か一人でも犠牲になるのを良しとしなかった」
「ジグルズはしばらくリュザール王国に滞在していたから、よく知っている。ジグルズがいなかったら、我々はグランツエルデ王国をよく思わなかっただろう」
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