さようなら、お別れしましょう
俺が戻ったと知った大臣や侍従が、必死な形相で駆けつけてきた。
「陛下っ! 突然、ベルクヴァイン公爵領へ行かれるとはなにごとですか?」
「なにか問題でもございましたか?」
「まさか、家出ならぬ王宮出……」
「真面目な陛下が、こんなジグルズ様のような真似をするとは!」
正直、こんなに心配されるとは思わなかった。
「俺がいなくて心配していたのか?」
「当たり前ですぞ!」
「母后様のもとへ行ったのかと、使者を送ったものの、いないとおっしゃるし……」
ううっと大臣が泣き出した。
「自由奔放なのは、ジグルズ様お一人で結構です」
「いかにも!」
「そうか。悪かったな」
俺が自信を失おうと、兄上より劣ろうと、周囲は俺を王と呼ぶ。
ならば、俺は王であり続けるしかない。
それ以外の何者にもなれないよう育てられてきたのだから。
「陛下は我々の気持ちをわかってくださる素晴らしい方です!」
「ジグルズ様が王宮を抜け出し、何ヵ月も行方をくらました時は、何人のクビが飛ぶかと、ヒヤヒヤさせられましたからな」
大臣や侍従は兄上にかなり手を焼いていたようだ。
兄上はほとんど王宮にいなかった。
それを考えると、兄上は早いうちから、王にならないと決めていたのではないだろうか。
――兄上の血のように赤い瞳。あれはグランツエルデ王の力なのか?
遥か昔、神は人間の中から王として、ふさわしい人間に力を与えた。
『やがて、お前は王となるだろう』
そう告げたという。
神から力を与えられた人間は、やがて王となった。
俺が即位した時、父上からなにも継承しなかった。
だから、てっきりグランツエルデ王家の力は長い歴史の中で消え、ないものだと思っていたが、父上は兄上に力を継承していたのだ。
なぜ、兄上の母親が早くに亡くなったのか、誰に聞いても教えてもらえなかった。
「陛下っ! 突然、ベルクヴァイン公爵領へ行かれるとはなにごとですか?」
「なにか問題でもございましたか?」
「まさか、家出ならぬ王宮出……」
「真面目な陛下が、こんなジグルズ様のような真似をするとは!」
正直、こんなに心配されるとは思わなかった。
「俺がいなくて心配していたのか?」
「当たり前ですぞ!」
「母后様のもとへ行ったのかと、使者を送ったものの、いないとおっしゃるし……」
ううっと大臣が泣き出した。
「自由奔放なのは、ジグルズ様お一人で結構です」
「いかにも!」
「そうか。悪かったな」
俺が自信を失おうと、兄上より劣ろうと、周囲は俺を王と呼ぶ。
ならば、俺は王であり続けるしかない。
それ以外の何者にもなれないよう育てられてきたのだから。
「陛下は我々の気持ちをわかってくださる素晴らしい方です!」
「ジグルズ様が王宮を抜け出し、何ヵ月も行方をくらました時は、何人のクビが飛ぶかと、ヒヤヒヤさせられましたからな」
大臣や侍従は兄上にかなり手を焼いていたようだ。
兄上はほとんど王宮にいなかった。
それを考えると、兄上は早いうちから、王にならないと決めていたのではないだろうか。
――兄上の血のように赤い瞳。あれはグランツエルデ王の力なのか?
遥か昔、神は人間の中から王として、ふさわしい人間に力を与えた。
『やがて、お前は王となるだろう』
そう告げたという。
神から力を与えられた人間は、やがて王となった。
俺が即位した時、父上からなにも継承しなかった。
だから、てっきりグランツエルデ王家の力は長い歴史の中で消え、ないものだと思っていたが、父上は兄上に力を継承していたのだ。
なぜ、兄上の母親が早くに亡くなったのか、誰に聞いても教えてもらえなかった。