さようなら、お別れしましょう
 自分の意思で未来を選べるように――それは夢よりも、もっと夢のように感じた。
 
「……はい」

 うなずいて返事をし、ラクダの隊列を目で追っていると、その先に現れたのは巨大なオアシスの町だった。
 砂漠の中に広い湖があり、強い日差しを受けて輝いている。

「あれがリュザール王宮ですか?」
「そうだ。王都だ。あのオアシスの町が、リュザール一族の始まりの地だ。大陸のさらに南部へ行くには、このオアシスの町を経由するか、あの高い山を回るかどちらかしかない」
「どちらも大変そうですね」
「安全を考えたら、砂漠のほうがいい。しっかり整備された道があるからな」

 ジグルズ様の部屋で見た地図によると、大陸南部には小さな島々が多く点在していた。
 
「リュザール王国で栄えているのは王都だけじゃない。大勢の王子や王女が地方を管理し、国の隅々まで発展しているんだ。カリムも地方長官として働いている」
「王女も地方長官を務めるんですか?」
「そうだ。嫁ぐ王女もいるが、どちらかというと、国に残る王女のほうが多い」

 私が生まれたドーヴハルク王家とかなり違う。
 グランツエルデ王国では共通するものがあったのに、ここでは目に映るもののほとんどが、初めて見るものばかりだ。
 ドーヴハルク王国ともグランツエルデ王国とも違う建物と葉の大きな植物。
 私たちが到着すると、ラクダが先に到着していて、湖で水を飲んでいた。

「今は道が整備されて、馬車でも来れるが、前はラクダでしか、来れなかったらしいぞ」
「ラクダでしか……」

 ラクダに乗れたら、それはそれで楽しい気がする。

「カリムに頼んで、ラクダを手配しよう」
「えっ!?」
「ラクダに乗ってみたいと、顔に書いてある。ハリルがもっと幼い頃、ラクダに乗せてもらっていたから、大丈夫だろう」

 ――あっ! ハリルと同じ扱いですね……

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