さようなら、お別れしましょう
 しかも、侍女たちがやってきても、なにも話さず、仕事を終えると逃げるように去っていく。
 王宮では、わたくしが暗殺の首謀者として噂になっているようだ。

 ――まさか、王都でも?

 レフィカ様ならともかく、ジグルズ様が刺されたというのが、まずかった。
 ジグルズ様の人気は高く、兵士や町の人々からもっとも信頼されている王族だ。
 わたくしが暗殺の首謀者として捕らえられたら、どんな目にあうかわからない。
 椅子に座っていても落ち着かず、うろうろと部屋の中を歩き回った。

「大丈夫よ。わたくしがレフィカ様を殺そうとした証拠はないわ。ベルタが黙って処刑されれば、証拠はなにも残らないのよ!」

 証拠はない。
 けれど、イーザック様は信じてくれなかった。

『わたくしの宝石を盗み、ベルタが暗殺者を雇い、レフィカ様の命を狙った』

 完璧なはずなのに、わたくしは罪人扱い。
 このままだと、わたくしもベルタと同様に処刑されてしまう。
 わたくしが罪に問われるなんて、ありえない。
 
「わたくしとベルタが共謀した証拠なんて、どこにも残ってないはずよ……」

 ――待って? 『証拠はない』と本当に言いきれる?

 過去の記憶を振り返った時、ベルタが言った言葉が気になった。
 たしか、イーザック様がシャルク・ホジャへ向かう前に――

『メリア様。陛下に今の話を聞かれていたのではないでしょうか? レフィカ様のお命を狙うという……』
『もし、陛下が先ほどの話を耳にしていたら、メリア様も罪に問われます……! 今なら、まだ!』

 あの時のベルタは、イーザック様に話を聞かれた気がすると言って、怯えていた。

 ――あの日、イーザック様はわたくしの計画を知って、レフィカ様の元へ行ったということ?

 イーザック様の変わらぬ態度が、真偽をたしかめるための演技だったとしたら……
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