さようなら、お別れしましょう
動揺した心を隠して書物を閉じ、カリム様にお辞儀をして返した。
報われなかった王女の恋。
騎士がその後、どうなったかまでは、書かれていなかった。
「レフィカ。俺がここに来たのは、リュザール王家と協力し、【契約】を無効にする方法を探すためだ」
「ジグルズ様……」
「俺はレフィカを死なせるつもりはない」
ジグルズ様の言葉に、カリム様とイレーネお姉様、リュザール王がうなずいた。
「いい加減、ドーヴハルク王は気づくべきだ。王の力こそが、王家を苦しめている原因なのだと」
リュザール王家とジグルズ様の考えは同じ。
もしかすると、王の力を捨てた他国の王家も同じ思いなのかもしれない。
「俺は犠牲になるのが、当然だとは思わない」
ジグルズ様の琥珀色の瞳が、赤い薔薇の花を見つめていた。
それに気づいたリュザール王が、ジグルズ様に言った。
「ジグルズがここへ来たのは、レフィカ妃との時間を作るためだろう?」
「それもある」
「正直者め」
リュザール王はジグルズ様の素直な返事に笑った。
「ここなら、邪魔も入らん。愛する人と二人で過ごせる時間を大切にするといい」
リュザール王が全員に退出するよう目で合図する。
さっきまで大騒ぎしていた王女たちは黙り、王子たちはジグルズ様に会釈し、去っていった。
「イレーネ、手を」
「カリム様。ありがとうございます」
カリム様は身籠っているイレーネお姉様を気遣い、手を差し伸べた。
イレーネお姉様は照れながら、お礼を言って立ち上がる。
そんな二人をリュザール王は眺め、微笑んでいた。
「妻が先に逝ったからか、愛する者と過ごせる時間は、少なく短いものだと感じた。あの時間をもっと大切にするべきだったと……。今になって思う」
歳を重ねたリュザール王だからこそ、感じた時間の短さ。
「では、友よ。よい夜を」
報われなかった王女の恋。
騎士がその後、どうなったかまでは、書かれていなかった。
「レフィカ。俺がここに来たのは、リュザール王家と協力し、【契約】を無効にする方法を探すためだ」
「ジグルズ様……」
「俺はレフィカを死なせるつもりはない」
ジグルズ様の言葉に、カリム様とイレーネお姉様、リュザール王がうなずいた。
「いい加減、ドーヴハルク王は気づくべきだ。王の力こそが、王家を苦しめている原因なのだと」
リュザール王家とジグルズ様の考えは同じ。
もしかすると、王の力を捨てた他国の王家も同じ思いなのかもしれない。
「俺は犠牲になるのが、当然だとは思わない」
ジグルズ様の琥珀色の瞳が、赤い薔薇の花を見つめていた。
それに気づいたリュザール王が、ジグルズ様に言った。
「ジグルズがここへ来たのは、レフィカ妃との時間を作るためだろう?」
「それもある」
「正直者め」
リュザール王はジグルズ様の素直な返事に笑った。
「ここなら、邪魔も入らん。愛する人と二人で過ごせる時間を大切にするといい」
リュザール王が全員に退出するよう目で合図する。
さっきまで大騒ぎしていた王女たちは黙り、王子たちはジグルズ様に会釈し、去っていった。
「イレーネ、手を」
「カリム様。ありがとうございます」
カリム様は身籠っているイレーネお姉様を気遣い、手を差し伸べた。
イレーネお姉様は照れながら、お礼を言って立ち上がる。
そんな二人をリュザール王は眺め、微笑んでいた。
「妻が先に逝ったからか、愛する者と過ごせる時間は、少なく短いものだと感じた。あの時間をもっと大切にするべきだったと……。今になって思う」
歳を重ねたリュザール王だからこそ、感じた時間の短さ。
「では、友よ。よい夜を」