さようなら、お別れしましょう
「レフィカ。そもそもお前がシャルク・ホジャにいるから、俺が迎えに行ったんだぞ! なぜ、シャルク・ホジャにいる!」
「なぜって……? イーザック様が許可してくださいましたよね?」
「そうだったか? いや、そうだったな……」
すっかり忘れていたが、レフィカがシャルク・ホジャへ行きたいと言って、許可を出したのは俺だ。
兄上のところに滞在する許可を出したのも俺。
――なにをしてるんだ! 過去の俺は!
「イーザック。お前が王として即位してるのに、俺が王になるわけがないだろう?」
呆れた顔をして、兄上は俺に言った。
「すでに、お前は俺の瞳を見ているはずだ」
「見ましたが……。もしや、あれが王の力ですか?」
「ああ。忌まわしい力だ。ドーヴハルク王と【契約】したお前ならわかると思うが、王の力は犠牲を必要とする。王の力を継承させるため、母は父に殺された」
「王の妻の命が代償となるということですか……?」
「そうだ」
自分の母は健在だが、殺されることを想像しただけで、めまいが起きそうだった。
兄上の苦悩も父上の思惑も、俺はまったく知らず、ぬくぬくと育ってきたのだと知った。
「イーザック、お前が王となった今、王の力を持たないことで、困ったことは一度もないはずだ。だから、俺たちの代で、王の力は終わりにしよう」
「兄上……」
兄上はどんな思いで、母の死を見ていたのだろう。
俺は両親に可愛がられ、安全な場所にいた時、兄上は戦場にいた。
王となってからは、大臣たちに守られてきた。
グランツエルデ王家の一番暗い部分をなにも知らずにいたのだ。
「……兄上の決定が正しいかと」
兄上はうなずいた。
「それから、レフィカの【契約】を無効にさせたいと思っている」
「レフィカの【契約】を無効に!? それはできない……! ドーヴハルク王国との同盟が無効になる!」
「なぜって……? イーザック様が許可してくださいましたよね?」
「そうだったか? いや、そうだったな……」
すっかり忘れていたが、レフィカがシャルク・ホジャへ行きたいと言って、許可を出したのは俺だ。
兄上のところに滞在する許可を出したのも俺。
――なにをしてるんだ! 過去の俺は!
「イーザック。お前が王として即位してるのに、俺が王になるわけがないだろう?」
呆れた顔をして、兄上は俺に言った。
「すでに、お前は俺の瞳を見ているはずだ」
「見ましたが……。もしや、あれが王の力ですか?」
「ああ。忌まわしい力だ。ドーヴハルク王と【契約】したお前ならわかると思うが、王の力は犠牲を必要とする。王の力を継承させるため、母は父に殺された」
「王の妻の命が代償となるということですか……?」
「そうだ」
自分の母は健在だが、殺されることを想像しただけで、めまいが起きそうだった。
兄上の苦悩も父上の思惑も、俺はまったく知らず、ぬくぬくと育ってきたのだと知った。
「イーザック、お前が王となった今、王の力を持たないことで、困ったことは一度もないはずだ。だから、俺たちの代で、王の力は終わりにしよう」
「兄上……」
兄上はどんな思いで、母の死を見ていたのだろう。
俺は両親に可愛がられ、安全な場所にいた時、兄上は戦場にいた。
王となってからは、大臣たちに守られてきた。
グランツエルデ王家の一番暗い部分をなにも知らずにいたのだ。
「……兄上の決定が正しいかと」
兄上はうなずいた。
「それから、レフィカの【契約】を無効にさせたいと思っている」
「レフィカの【契約】を無効に!? それはできない……! ドーヴハルク王国との同盟が無効になる!」