さようなら、お別れしましょう
6 無礼な侍女
妃付きの侍女たちの力関係は、王に寵愛されている妃の侍女が強い。
後宮育ちの私には、それがわかっていた。
ジェレンは悔しそうに唇を噛んだだけで、なにもできなかった。
その様子を見て、くすりとベルタは意地悪く笑った。
「ジェレン、落ち着いて」
「わかっていますけど、あの態度! 我慢なりませんわ!」
「不利なのはこちらです。ジェレン、耐えてください」
「そんな……レフィカ様……」
ジェレンは嫌がらせと無縁の生活だっただろうけど、私は違う。
異母姉妹や妃たちは、立場の弱い私に、気まぐれで嫌がらせをすることが多かった。
――ベルタは私を煽ったつもりでしょうけど、嫌がらせへの耐性は、ジェレンたちよりあるんですよね。
私がベルタににこっと微笑むと、向こうは怯んだ。
「イーザック様が私の手紙を不要だとおっしゃるのであれば、燃やしていただけますか? 薪の代わりくらいにはなるでしょうから」
「え……? 燃やす? 薪?」
「はい、燃やしてください」
まさか、手紙を書いた本人から、『燃やしてください』なんて言われるとは思っていなかったようだ。
「どうせ捨てられるなら、燃料にしてもらえたほうが、無駄になりません」
「ね、燃料……?」
ベルタは呆気にとられていた。