さようなら、お別れしましょう
 肉を小麦粉の生地で包んで揚げたもの、たっぷりの野菜に細かい肉を入れて炒めた料理、チーズなどが並んでいる。

「一度話をしてみたいと思っていた」

 俺と同じことを考えていたらしい。
 肉のスープが入った皿を渡され、受け取った。
 口につけようとした瞬間――

「王の力を得たのだろう?」

 ――いきなり、一番知りたいことを尋ねるか。
 
 酒を一口飲み、テーブルに置く。
 母が死んだことは、誰もが知っていることだ。
 ここで隠しても無駄だろう。
 王の力によって身近な人間が犠牲になって死ぬのは、王ならわかることだ。

「そうですね。グランツエルデの王の力を持っています。ですが、王にはなりません」

 ドーヴハルク王は無言になって、酒を飲む。
 王になるために生きてきたドーヴハルク王に、『王の力を捨てる』と言ったところで理解されない。

「ジグルズ。王にならなければ、後悔するぞ」

 ――王にならなければ、後悔する。 

 この言葉が、俺とドーヴハルク王が会うたびに交わされる挨拶代わりとなった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「ジグルズ。お前と戦いたいと思っていた」
 
 金属の重い音が響いた。
 相手の技量を推し量ろうと、何度か剣を受け止めたが、今まで剣を交えた誰よりも強い。
 
 ――自信があるはずだ。まったく隙がない。

「レフィカを娶りたいのであれば、王になればいいだけのこと。王の力を使うことを恐れるな!」
「恐れているわけではないですよ」

 剣を弾き、距離を取りながら、向こうに攻撃させる。

「グランツエルデの王の力を使えば、すぐに終わるぞ」
「話す余裕があるとは、さすがですね」

 剣の腕は互角――笑いながら、剣をさばく。
 始めは笑っていたドーヴハルク王も、俺がなにを狙っているか気づいたようだ。
 笑みを消し、早くこの戦いを終わらせようと必死に剣を振るう。
 
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