さようなら、お別れしましょう
54 どこまでも
グランツエルデ王国史に刻まれる出来事――それが、シャルク・ホジャにて始まった。
「本日より、シャルク・ホジャに自治権を与える」
ジグルズ様が市庁舎の前で、人々に宣言すると、わあっと歓声があがった。
夕暮れの町に響いたジグルズ様の声とお祝いの花火の音。
人々に町の管理を任せる日がやってきたのだ。
新しい市庁舎の議会場が完成した後、すぐに議員が選出された。
候補者として選ばれたのは、前もってジグルズ様と話をしてきた商人や学者たちだ。
町の運営を任せるにあたり、それなりの知識が必要だったからだ。
その中から、町の代表を選ぶのだという。
「ますますシャルク・ホジャは発展するでしょう」
「ジグルズ様が豊かにした町です。必ずやグランツエルデ王国で一番の都市にしてみせます!」
「ああ。楽しみにしている」
ジグルズ様は人々に温かいまなざしを向けた。
町じゅう、お祭り状態で、広場にはサーカスがやってきて、通りには旅芸人たちが音楽を演奏し、ダンスを踊ったり、酒盛りをしたりと、大騒ぎだった。
今日はジグルズ様が歩いていても、人々の足は止まらず、通りすぎていく。
見送るジグルズ様の顔は嬉しそうだ。
私とジグルズ様は市庁舎を離れ、まだ人通りの少ない運河沿いの通りを歩いていた。
薄暗くなってきても、船からお祝いの花火が打ち上げられて、通りは明るい。
「これから、シャルク・ホジャはさらに栄えるだろうな」
「旅立つ子を見送る親のような顔をしていますね」
「レフィカ。俺は心配してないぞ」