さようなら、お別れしましょう
7 目ざわりな正妃(1) ※メリア
「レフィカ様が王宮を出て行かれました」
明るい日差しが降り注ぐ庭園に立ち、花を眺めていると、侍女のベルタが戻ってきた。
「そう。やっと出ていったの」
わたくしの目の前には、この辺りでは見かけることのないドーヴハルク王国の花が咲いている。
薔薇に似た花は、空色やピンク、クリーム色といった薄い色が多い。
南のほうの色鮮やかな花とは違い、控えめな色ばかりが咲いている。
庭師は育てやすく、虫もつきにくいドーヴハルクの花を誉め、イーザック様も切れとは言わなかった。
――なんて、目ざわりな花なの。この花を見るたびに、イーザック様はレフィカ様を思い出すかもしれないわ。
これは一年前、レフィカ様が嫁いだ時、庭師にともに植えた花。
庭師から聞き、なおさら、この花が嫌いになった。
「メリア様。ひとまず、安心ですね!」
「安心? 安心なんてできないわ」
そばの噴水の水面には、花とともに、わたくしの平凡な容姿が映っている。
レフィカ様は銀糸のような髪を持ち、濃い青の目をし、まるで人形のようだった。
イーザック様は黒髪に琥珀色の美しい瞳を持つ。
――それに比べ、わたくしの容姿は普通……平凡すぎるわ。
茶色の髪を手でなでた。
周囲はわたくしを可愛いと言うけれど、美しいとは言わない。
美人が多いと有名なドーヴハルク人。
特に王女たちは美人ばかりだという。