さようなら、お別れしましょう
 若く凛々しい王は令嬢たちからも、人気が高かった。
 そんな彼の愛情を勝ち取ったのは、妻の私ではなく、伯爵令嬢メリアだった。
 メリアのことはあまり知らないけれど、可愛らしい女性で魅力的に見える。
 
 ――私が彼女のように、可愛い女性だったら、愛してくれましたか?

 彼女と私は、容姿も性格も正反対。
 メリアと自分を見比べて、落ち込んだ。

「レフィカ様。わたくしとイーザック様に子供ができても、王宮にいてくださってよろしいのですよ?」
「こっ、子供!?」
「ええ。妻であれば当然ですわ」

 もしかして、メリアは私が夫から一度も寝室に呼ばれたことも、部屋へ訪れたこともないと知っているのだろうか。
 メリアの言葉は、私への嫌みに聞こえた。
 すでにメリアは、イーザック様との未来を思い描き、二人の間に子供ができた後のことを考えている。
『新しい妻』の話は、昨日今日で決まったわけではなさそうだ。
 イーザック様は無感情な目で、玉座から私を見下ろしていた。
 その目は、ほとんど会ったこともない他人に対する目で、情のカケラもない。
 実際、私がまともにイーザック様と顔を合わせることができたのは、結婚式くらいで、ヴェール越しだった。
 そして、結婚してからは、いつも『忙しい』としか返事が来ない日々。
 放置されていても国王として、イーザック様が夜遅くまで勉強しているのを知っていたから、しかたがないと思っていた。
 王宮の図書室には、イーザック様が読んだ難しい本がたくさんある。
 読み終わると、図書室に本が増えていく――努力家な方なのだと、尊敬していたのに。

「新しい妻を迎えることに、なにか不満はあるか?」
「あなたは私がなにを言っても、興味がないのでしょう?」
「……そうだ」

 ここで、私が不満を言っても意味がないとわかってる。

 ――私は愛されることを諦めるしかないの?

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