さようなら、お別れしましょう
「レフィカ様の本心はわかりかねます。ただ、薪代わりの燃料になるとかなんとか……」
「なにが燃料だ! 紙が薪の代わりになるか! すぐに燃えてなくなるだろう!」

 イーザック様は怒りながら、手紙が入った袋を持ち上げた。

 ――まさか、イーザック様はレフィカ様の手紙を保管なさるおつもり?

 わたくしが一生懸命、レフィカ様の痕跡を消そうとしているのに、百通以上ある手紙を残されては意味がない。

「イーザック様。レフィカ様の手紙を捨ててくださいませ!」
「メリア、お前は俺の妻だが、俺の持ち物に口を出すな。これをどうしようと俺の自由だ」
 
 イーザック様は強い口調と鋭い眼光で、わたくしを黙らせた。
 これ以上、イーザック様のご機嫌を損ねたくない。
 妃となったわたくしには、イーザック様の愛がすべて。
 イーザック様から愛されなくなったら、王宮にいられなくなる。

 ――レフィカ様のように。

「……わかりました」

 手紙の処分を諦めると、イーザック様は去っていった。
 イーザック様は一度も振り返ってはくれなかった。
 燃やさなかった手紙、拾った花――レフィカ様はすでに王宮にいない。
 もういないのに、イーザック様はレフィカ様に惹かれている気がした。
 イーザック様がレフィカ様に関心を持つなんて許さない。

 ――絶対に許さないわ! これは浮気の始まりよ!

「レフィカ様さえいなくなれば……! いなくなる……? レフィカ様がいなくなるいい方法があるわ!」
「メリア様?」
「ベルタ! イーザック様は同盟のために【契約】をしたと言っていた気がするわ!」
「はぁ……? 【契約】でございますか?」

『王の力』を残している国は少なく、今ではおとぎ話のようなもの。
 ベルタはおとぎ話も知らない暮らしぶりだったから、知らなくてもしかたないとしても、わたくしは違う。

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