さようなら、お別れしましょう
 ――ドーヴハルク王は『王の力』を使って国々と同盟を結ぶと、聞いたことがあるわ。

 たしか、イーザック様はわたくしに『同盟のためドーヴハルク王と【契約】を結んだ。王女と結婚するしかなかった』と言っていた。
【契約】の内容は王と王しか知らないもので、わたくしも教えてもらっていない。
 でも、『王女と結婚するしかなかった』と、イーザック様は【契約】の一つを明らかにした。
 レフィカ様は【契約】の担保で嫁いだのは明らかだ。 

「ベルタは知らないだろうけど、古いおとぎ話にはね、妃の地位を奪われた王女が、突然死んだという話もあるのよ」
「ただの病気ではなく……?」

 ベルタは半信半疑で、『王の力』を信じていないようだった。
 わたくしも信じているわけではないけれど、やってみなくてはわからない――

「妃でなくなった王女が死んだなら、レフィカ様も……ね?」

 ベルタがごくりと唾をのみこんだ。

「イーザック様の妃は、わたくし一人でいいのよ」

 パチンと音を鳴らして、花を切る。
 地面に落ちた花を見下ろし、わたくしは笑った。

 ――正妃の地位を奪ってみせますわ。

「さようなら、レフィカ様」 

 また一つ花を切り落とし、にっこり微笑んだ。

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