さようなら、お別れしましょう
イレーネお姉様は王妃として、王である夫から必要とされ、生きていけるよう知識を蓄えていた。
どこに嫁いでも、イレーネお姉様なら有能な王妃として有名になるだろう――そう思っていた。
あの努力が無駄だったなんて思いたくない。
「ちょっと! レフィカ、どこにいたの!? わたくしの部屋に薪を運んで!」
「寒いんだから、暖炉の火を絶やさないでよ!」
私の前に現れたのは異母姉妹――他の王女たち。
後見人がいる王女たちは、私と扱いが違う。
私と違い、美しいドレスを着て、毎日優雅に暮らしている。
現れた王女たちはイレーネお姉様より年上で、先に結婚するなら彼女たちのほうだったはずだ。
でも、お父様が嫁がせたのはイレーネお姉様。
王女は政治的な駒である。
捨てていい駒を選んでいるのか、それとも、なにか考えがあって……?
「イレーネが嫁いだけど、次はきっとレフィカよ」
「レフィカはどこへ嫁ぐのかしら?」
「教養もなく、みすぼらしいレフィカは、田舎の小国か、野蛮な部族の貢ぎ物に決まってるわ!」
後宮の回廊に、笑い声が響き渡った。
「髪飾りくらいは買ってもらえるような相手だといいわね?」
「お父様に愛されている私たちは、きっと大国や豊かな国へ嫁いで幸せになるわ」
勝ち誇った笑みを浮かべた彼女たちをまっすぐ見られず、目を伏せた。
どんな暮らしをしていようと、王女は例外なく【契約】に縛られ、他国へ嫁ぐ運命にあるのは変わらない。
私たちは後宮という狭い世界に閉じ込められ、生死すら自由にならないのだ。
王女の生死を左右するのは――
「レフィカ、喜べ。お前の嫁ぎ先が決まった」
大勢の人間にかしづかれ、後宮にやってきたのはドーヴハルク王――父だった。
異母姉妹たちはひざまずき、頭を垂れたけれど、私は頭を下げず、父を見上げていた。
どこに嫁いでも、イレーネお姉様なら有能な王妃として有名になるだろう――そう思っていた。
あの努力が無駄だったなんて思いたくない。
「ちょっと! レフィカ、どこにいたの!? わたくしの部屋に薪を運んで!」
「寒いんだから、暖炉の火を絶やさないでよ!」
私の前に現れたのは異母姉妹――他の王女たち。
後見人がいる王女たちは、私と扱いが違う。
私と違い、美しいドレスを着て、毎日優雅に暮らしている。
現れた王女たちはイレーネお姉様より年上で、先に結婚するなら彼女たちのほうだったはずだ。
でも、お父様が嫁がせたのはイレーネお姉様。
王女は政治的な駒である。
捨てていい駒を選んでいるのか、それとも、なにか考えがあって……?
「イレーネが嫁いだけど、次はきっとレフィカよ」
「レフィカはどこへ嫁ぐのかしら?」
「教養もなく、みすぼらしいレフィカは、田舎の小国か、野蛮な部族の貢ぎ物に決まってるわ!」
後宮の回廊に、笑い声が響き渡った。
「髪飾りくらいは買ってもらえるような相手だといいわね?」
「お父様に愛されている私たちは、きっと大国や豊かな国へ嫁いで幸せになるわ」
勝ち誇った笑みを浮かべた彼女たちをまっすぐ見られず、目を伏せた。
どんな暮らしをしていようと、王女は例外なく【契約】に縛られ、他国へ嫁ぐ運命にあるのは変わらない。
私たちは後宮という狭い世界に閉じ込められ、生死すら自由にならないのだ。
王女の生死を左右するのは――
「レフィカ、喜べ。お前の嫁ぎ先が決まった」
大勢の人間にかしづかれ、後宮にやってきたのはドーヴハルク王――父だった。
異母姉妹たちはひざまずき、頭を垂れたけれど、私は頭を下げず、父を見上げていた。