さようなら、お別れしましょう
11 別居された妻
 

 嫁いで一年。
 まともに顔を合わせることもなく、あっさり別居されてしまった私。

 ――さすがにこれは、お父様も想像できなかったんじゃないかしら?

 でも、愛がない形だけの正妃であっても、【契約】は残っている。
 父とイーザック様は、五つある【契約】の中身をすべて知っている。
 どうやら、別居は【契約】違反には、ならないとわかった。
 今、私は侍女たちと共に、王宮を後にし、別居先の屋敷へ向かっているところだ。
 少なくとも、イーザック様は【契約】を破る気はないとわかって、一安心と言いたいところだけど……
  
 ――今のところは……よね。

 メリアの気持ち次第で、後々どうなるかわからない。
 私は興味すら持ってもらえない妻。
 それに対して、愛されているメリア。
 メリアが『正妃になりたい』と望んだら、イーザック様は『わかった。正妃にしてやろう』と、いつ言い出してもおかしくないのだ。
【契約】が刻まれた私の心臓。
 左胸に視線を落とす。
 今のところ、私は生きている。
【契約】は全部で五つ。

 『王女を正妃として迎える』
 『王女の逃亡を禁ずる』
 『領土を奪わない』
 『妻の不義』

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