さようなら、お別れしましょう
「商人たちは噂を聞きつけ、シャルク・ホジャに本店を置いています」
「それで、町は王都を超えるほどの都市になったというわけですか……」
 
 ジェレンは感心していた。
 私も学者から、この町の話を聞いていたけれど、実際に見るまで、そのすごさはわからなかった。
 グランツエルデ王国内にありながら、異国人が多く、町の名前も異国の名を持つ――すでに町というより、王都を超える巨大な都市である。

「商人たちは抜け目がなくて、行動が早いこと。商人はすごいですわね」
「ジェレン、すごいのはこの町を治める領主ですよ。税は大事な収入源です。税の一部とはいえ、それを手放して、町の発展を優先させたのですから、なかなかできることではありません」

 シャルク・ホジャで目にするものすべてが珍しく、私とジェレンは店先を覗いて回った。
 珍しい石の香炉には香が焚かれ、仄かに白い煙が立ち昇り、店の外にまで香りが漂う。
 ストールを売る店では、刺繍入りのストールが店先に飾られていて、小さな鈴がついたストールが、風にあおられ音を鳴らす。
 見事なガラス細工が並ぶ店の前で、私とジェレンは足を止めた。

「ガラス細工が素敵ですね。留守番している侍女たちのお土産に、なにか買いたいですけど、割れてしまいそう……」
「レフィカ様、王都のお屋敷へ届けていただいたらどうでしょうか?」

 ジェレンもガラス細工が気に入ったらしく、みんなのお土産にしたいと思ったようだ。

「その……申し訳ございません……」

 店の主人に話し声が聞こえていたらしく、とても困った顔をして、私とジェレンに近づいてきた。

「商品を届けることはできますが、時間がかかります」
「時間ですか?」
「シャルク・ホジャから、商品の荷を出す際、手続きが必要でして。手続きの順番がいつやってくるかわかりません」

 店主は通りに並ぶ店に目をやる。

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