さようなら、お別れしましょう
「ご覧の通り、店や人の数に対して、お役所が小さすぎるんですよ」
「そういえば、まだ小さな町役場しかないと聞きました」
「町役場の人間は、領主様が雇い、派遣されてくるんですがね。一気に町が大きくなったんで、人の補充が間に合っていないようでして」

 店主はため息をついた。
 
「いい町なんですがねぇ……。それで、どうしますか? そちらの商品は、お茶を飲むときに使うグラスでして、熱いお茶を注いでも割れません」

 青と金色で装飾されたガラスのグラスは美しく、異国の雰囲気がある。
 お屋敷で留守番をしてくれている侍女たちに買ってあげたい。

「こちらをいただきます。遅くなっても構いませんから、届けていただけますか?」
「お買い上げありがとうございます」

 私とジェレンはお土産のグラスを選び、店の主人に渡した。

「よろしくお願いしますね」
「割れないよう、しっかり手配させていただきます」

 侍女たちはきっと美しいガラスに驚くはず。
 その驚いた顔を想像しただけで、わくわくした。

「私たちが帰るのと同じくらいに、届いてくれたらいいのだけど……」
「人が増え、町が大きくなったからといって、いいことばかりじゃありませんね」

 そんな会話をしながら、ジェレンと店を出ると、言い争う声が聞こえてきた。
 石造りのしっかりした建物の前で、誰かが怒鳴っている。

「まだ荷の許可が出ないのか! こっちは他の国に届けなくてはいけない荷があるんだよ!」
「順番ですので」
「だから、どうでもいい荷を後回しにしてくれ。うちの荷は薬の材料になる薬草だ。これがなければ、薬が作れん!」
「ですから、順番です!」

 建物を警備する男性が追い返そうとしても、商人は諦めなかった。

「本当に困るんだ。以前なら、すぐに荷を運べただろう!? なぜ、こんなに時間がかかるんだ!」
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