さようなら、お別れしましょう
あなたと幸せになりたいと――会った時に、その気持ちを伝えようと決めていた。
ようやく話せた時には、彼は新しい妻を連れてきた。
私の言葉を聞いても、イーザック様の態度は冷たく、変わらなかった。
「何度も言わせるな。俺はお前に興味がない。だが俺たちは別れられない」
「……はい」
私たちの結婚は、国と国の【契約】によって縛られてた政略結婚。
そう――忌まわしい【契約】がある。
「レフィカ。お前が俺に媚びるのもわかる。俺はお前の命を握っているんだからな」
「媚びているわけではありません。今の言葉は私の素直な気持ちです」
「どうだか。なんとでも言える。国で教えられてきたのだろう? 俺を誘惑し、篭絡しろと」
「違います!」
「聞く気はない。今はドーヴハルク王国との同盟は維持したいと思っている。国境を接する他国を抑えるためにな」
夫も父も、私を政治の道具としか、見ていない。
ドーヴハルク王国とグランツエルデ王国の同盟を維持するための……
私とイーザック様が結婚する時に交わされた【契約】。
その【契約】は父によって、私の心臓に刻まれた。
今も思い出せる。
文字が刻まれる絶望感を――父が自分の血で書いた赤い文字が、黒く変色し、鎖のように私の体を包んだ。
見えないはずの自分の心臓に、鎖のようになった文字が絡みついたのがわかった。
ドーヴハルク王だけが使える【契約】の力は、王女の犠牲のもとに成り立つ。
定めた【契約】を破れば、死ぬ。
人質より悪い、王女の命は【契約】の担保として利用される物扱い。
普通の結婚ではない。
幸せな家庭を築き、穏やかに暮らせるなどと夢を見て、期待するのが間違っていたのだ。
イーザック様は最初から割りきった関係だったというのに、私一人が期待した。
――それだけの話。
ようやく話せた時には、彼は新しい妻を連れてきた。
私の言葉を聞いても、イーザック様の態度は冷たく、変わらなかった。
「何度も言わせるな。俺はお前に興味がない。だが俺たちは別れられない」
「……はい」
私たちの結婚は、国と国の【契約】によって縛られてた政略結婚。
そう――忌まわしい【契約】がある。
「レフィカ。お前が俺に媚びるのもわかる。俺はお前の命を握っているんだからな」
「媚びているわけではありません。今の言葉は私の素直な気持ちです」
「どうだか。なんとでも言える。国で教えられてきたのだろう? 俺を誘惑し、篭絡しろと」
「違います!」
「聞く気はない。今はドーヴハルク王国との同盟は維持したいと思っている。国境を接する他国を抑えるためにな」
夫も父も、私を政治の道具としか、見ていない。
ドーヴハルク王国とグランツエルデ王国の同盟を維持するための……
私とイーザック様が結婚する時に交わされた【契約】。
その【契約】は父によって、私の心臓に刻まれた。
今も思い出せる。
文字が刻まれる絶望感を――父が自分の血で書いた赤い文字が、黒く変色し、鎖のように私の体を包んだ。
見えないはずの自分の心臓に、鎖のようになった文字が絡みついたのがわかった。
ドーヴハルク王だけが使える【契約】の力は、王女の犠牲のもとに成り立つ。
定めた【契約】を破れば、死ぬ。
人質より悪い、王女の命は【契約】の担保として利用される物扱い。
普通の結婚ではない。
幸せな家庭を築き、穏やかに暮らせるなどと夢を見て、期待するのが間違っていたのだ。
イーザック様は最初から割りきった関係だったというのに、私一人が期待した。
――それだけの話。