さようなら、お別れしましょう
 領地収入だけでなく、商会が稼いだ分の収入もあるなんて、公爵家はどれだけ裕福なのだろうと思ってしまった。
 
「もしかして、赤髪の男の子は、ゼリヤの息子ですか?」
「はい。ジグルズ様に母子で雇っていただいております」

 たしかにゼリヤとハリルは似ていた。
 通りで、ハリルを初めて見た時、どこかで見たことがあると思ったはずだ。

「ここで立ち話をしていると邪魔になる。レフィカとそちらの侍女殿も、よかったら、俺の屋敷に寄っていかないか?」
「レフィカ様。ぜひ、そうなさってください! この町は珍しいものがたくさんありますし、よい気晴らしになります!」

 ゼリヤも強く勧めてくれた。

「では、ジェレン。お茶だけでもいただきましょうか?」
「そうですね。足も疲れましたし、お言葉に甘えましょう」

 後宮に出入りしていたゼリヤは、イレーネお姉様を知っている。
 しかも、ジグルズ様の配下であるゼリヤは、他国へ行くことが多い。
 結婚後にイレーネお姉様と会っていた可能性が高い。
 ジグルズ様とゼリヤのどちらかから、なにか情報を得られるはずだ。

 ――イレーネお姉様のことが、なにかわかるかもしれない。

 ようやく、イレーネお姉様の情報を手に入れることができそうな気がした。


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