さようなら、お別れしましょう
同じ例で死んだとするなら、怪しまれにくい。
――イレーネお姉様ならそうするだろうという仮定のもとで考えるならだけど……
過去にそういう例があったと知って、だんだんイレーネお姉様が生きているのではという自信がなくなってきた。
「なるほどな。ドーヴハルク王は【契約】の五つ目をあえて伏せ、さらに行動に制限をかけて縛ったのか」
「はい……。五つ目がわからなければ、大胆な行動をとれません」
「最近、ドーヴハルクから嫁いだ王女が、若い騎士と逃げて命を落としていただろう」
ジグルズ様は侍女たちと同じことを言った。
イレーネお姉様は生きていないのだろうか……
「ジグルズ様。イレーネお姉様は死んだのでしょうか?」
「噂ではそう言われている」
「イレーネお姉様が嫁いだ国の名はなんという国ですか?」
「待て」
それは短く鋭い声だった。
「レフィカはイレーネ王女が死んだと知っているんだな?」
「侍女が話しているのを聞きました」
「死んだと知っていて、なぜ調べる?」
「イレーネお姉様は真面目で優しく、そして聡明な方でした。若い騎士と恋に落ち、逃げ出すような方ではありません」
歴史書に視線を落とす。
『妻の不義』による逃亡が多いと書いてあったとしても、イレーネお姉様がそうだとは限らない。
「恋をすれば、わからないぞ。自分を見失い、無謀な真似をするかもしれない」
「そんなこと……!」
「恋をしたことはあるのか?」
そう問われ、口ごもった。
――恋。そういえば、私はまだ恋をしたことがないわ。
「ひどい目にあって、逃げ出す王女もいる」
「イレーネお姉様がひどい目にあって、逃げたというのなら、私はその国に復讐をします!」
「冷静になれ。今の話は過去の例だ。イレーネ王女がひどい目にあったとは言ってない!」
ジグルズ様はさっきまで冷静だったのに、慌てて訂正する。
――イレーネお姉様ならそうするだろうという仮定のもとで考えるならだけど……
過去にそういう例があったと知って、だんだんイレーネお姉様が生きているのではという自信がなくなってきた。
「なるほどな。ドーヴハルク王は【契約】の五つ目をあえて伏せ、さらに行動に制限をかけて縛ったのか」
「はい……。五つ目がわからなければ、大胆な行動をとれません」
「最近、ドーヴハルクから嫁いだ王女が、若い騎士と逃げて命を落としていただろう」
ジグルズ様は侍女たちと同じことを言った。
イレーネお姉様は生きていないのだろうか……
「ジグルズ様。イレーネお姉様は死んだのでしょうか?」
「噂ではそう言われている」
「イレーネお姉様が嫁いだ国の名はなんという国ですか?」
「待て」
それは短く鋭い声だった。
「レフィカはイレーネ王女が死んだと知っているんだな?」
「侍女が話しているのを聞きました」
「死んだと知っていて、なぜ調べる?」
「イレーネお姉様は真面目で優しく、そして聡明な方でした。若い騎士と恋に落ち、逃げ出すような方ではありません」
歴史書に視線を落とす。
『妻の不義』による逃亡が多いと書いてあったとしても、イレーネお姉様がそうだとは限らない。
「恋をすれば、わからないぞ。自分を見失い、無謀な真似をするかもしれない」
「そんなこと……!」
「恋をしたことはあるのか?」
そう問われ、口ごもった。
――恋。そういえば、私はまだ恋をしたことがないわ。
「ひどい目にあって、逃げ出す王女もいる」
「イレーネお姉様がひどい目にあって、逃げたというのなら、私はその国に復讐をします!」
「冷静になれ。今の話は過去の例だ。イレーネ王女がひどい目にあったとは言ってない!」
ジグルズ様はさっきまで冷静だったのに、慌てて訂正する。