さようなら、お別れしましょう
「俺は妻を迎え、王としての責任を果たしています。まだ結婚もしないで、のうのうと自由を満喫している兄上が、俺に説教できる立場ですか?」

 兄上は苦笑した。
 まるで、駄々っ子の言い分を聞いているような顔だ。

「ドーヴハルク王の策略にはまり、同盟を結ぶしかなくなったのは、お前の失策だ。俺は他国と争うなと忠告したぞ」
「ぐっ……! そ、それは……」
「お前が思っているより、ドーヴハルク王は野心家だ。気を抜けば、他国と手を組み、攻めてくる」
「言われずともわかっています!」
「わかっているなら、レフィカを大切にしろ。彼女がいるから、お前は領土を失わずに済んだんだぞ」

 兄上に説教されてしまった。
 レフィカがいる限り、こちらも領土を奪えないが、ドーヴハルク側も奪えない。
【契約】は絶対だ。
 なぜなら、一度でもドーヴハルク王が【契約】を破ったなら、各国は信用しなくなる。
 二度と【契約】に応じないだろう。
 さらに、歴代のドーヴハルク王が【契約】を破ったことがないという事実がある。
 その事実があるからこそ、【契約】による同盟は強いのだ。

「ジグルズ様。私に不満はありませんわ。イーザック様には、私が暮らすに困らないだけのことをしていただいております」

 レフィカは微笑み、とても満足そうだ。

「でも、別居中とはいえ、私の身分は妃。なにかできたらと思っております」
「なにかとは? お前になにができる?」

 メリアがお茶会を開くと言っていたが、レフィカはどうだろう。
 そう思っていると、兄上が口を挟んだ。

「暇なら町の管理を手伝ってもらおうか」 
「兄上!? 俺の妃を働かせるつもりですか?」
「人手不足だからな」
「そうですね。仕事が滞って、町で揉め事も起きていますし……」

 レフィカは俺の妃のくせに、兄上の元で働くことをなんとも思っていないようだ。

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