さようなら、お別れしましょう
「でも、イーザック様に声をかけていただいたのですから、私の存在が、空気から置物くらいにはなったのかもしれませんね」

 空気から物体にまで昇格したのだから、喜ぶべきかもしれない。
 イーザック様は『好きにしろ』と捨て台詞まで吐いていった。
 私のことを気にしているとは思えない態度である。

「イーザック様が気にかけているのは、私よりも【契約】でしょう。同盟を維持したいのであれば当然です」
「……ジグルズ様。レフィカ様がこのお屋敷に滞在すれば、イーザック様も少しは心を入れ替えるかもしれませんよ?」
「そうかもしれないな」

 ジグルズ様はイーザック様に呆れ、ゼリヤは少し怒っていた。

「ジグルズ様、レフィカ様に仕事を任せるのであれば、なにか役職を作ってはいかかでしょうか。変に勘ぐる人間が減るかもしれません」
「仕事と役職か。それなら、人と関わるものがいいかもしれないな。レフィカが町のために働いているとわかれば、誤解もされにくい」

 ジグルズ様は天井を仰ぎ見て、私の役職を考えていた。
 
「……地位は公爵補佐官。仕事内容は町の相談役というのはどうだ?」
「公爵補佐官……相談役……? どんな仕事ですか?」

 ジグルズ様はさらに説明を加えた。

「町の人々がなにを望み、困っているのか話を聞いてくれると助かる。毎日、なにかしらトラブルが起きているからな」
「つまり、私はシャルク・ホジャに住む人々とベルクヴァイン公爵家の橋渡しのような存在ということですね?」
「そうだ。できそうか?」
「どんな相談が来るのかわかりませんが、やってみます!」

 私の仕事が決まった。
 そして、もう一つの問題。
 私の住む場所である。

「邸内に補佐官専用の部屋を与える。どうだ、ゼリヤ。これでいいか?」
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