True Blue Line ~君は僕のたった一つの宝物~
EP17
日付をまたいで帰宅した私を、両親は寝ずに待っていた。
私と目が合うと、父は険しい顔をしたまま告げた。
「ちゃんと無事に帰って来たんだな。相手が帰したのか?」
「うん」
母が、父のお茶の湯飲みを片付ける。
そして私の横を通り過ぎる時、小さな声で告げた。
「化粧を落として今日はもう休みなさい」
私は頷き、踵を返して自室へ戻る。
背を向けた向こうから、父の深いため息が聞こえた。
心がチクリと痛む。
部屋に戻ると、私は武に自宅に着いたことを知らせる。
でもそれ以上の言葉は出てこなかった。
『無事に家に着いて安心した。おやすみ』
と武から返信が来た後は続かなかった。
それが武の優しさだと私は思った。
私はそのまま眠りに落ちた。
-*-
カーテンから漏れ出た朝陽が眩しくて目を開ける。
時計を見ると、日勤の時に起きる時間と同じだった。
6時。
携帯電話を見ると、武からメールが来ていた。
『おはよう。いま朝食会場に来てる。朝からすげー豪華でやべえ』
そのメールが妙に明るくて、私はくすっと笑う。
そしてすぐに返信する。
『おはよう。いいなぁ。私の分もしっかり食べておいてね!』
数分おいて武からもメールが返ってくる。
『もちろん。由惟も朝はしっかり食えよ?』
私は着替え、ベッドを整えた。
この部屋はこんなに広かったんだとふと思った。
-*-
父はその日出勤予定だった。
しかし、午前中は年休を取ったという。
新聞を広げ、カップに入れたコーヒーを口に含んでいる。
「なんで?」
「……そのスドウとかいう若造と会うためだ」
目元を腫らした母が何も言わずに目玉焼きと野菜が乗った皿を私の前に置く。横ではコーヒーメーカーが湯気をあげ、トースターからは程よく焼き目がついたトーストが飛び出している。
「交際するつもりなんでしょう?……今後も」
「うん」
「彼に伝えなさい。……親が出向くってね」
「どうして……」
私は母の言葉の意味が解らなかった。
ただ状況的には少し好転したのかと僅かな希望を抱く。
「ネットで知り合ったフリーターの男の何を信じて会う気でいた?」
「彼の人柄……、確かに彼はフリーターをしてるけど、それは夢があってのことだもん。真面目に生きてるちゃんとした人だよ!」
私は父の目を見つめた。
一睡もしていないのかと思うほど、赤く腫れた目。
心配をかけたのはわかってる。でも、ここは譲れない。
父は何も言わなかった。
「由惟がそこまで言うなら、それが本当か見せて貰うわ。その結果どうなっても、全部受け止めなさいよ?」
母が厳しい声で言い放つ。
私はコーヒーをマグカップに注ぎ、トーストを取った。
ハッキリと返事をすることは出来そうもなかった。
-*-
武に状況をメールする。
すると武から着信があった。
「もしもし? ユイユイ?」
「ユイユイって……パンダみたい」
「待ち合わせ場所は? 親御さんはどういう交通手段で来るんだ?」
「列車で三人で行くよ。武はホテルで待ってて欲しいって」
「わかった。……心配するな、後は俺のターンだ。後衛は任せたぜ?」
「なんでバトルに……。てか武のメインジョブって盾役だったの?」
「何でもやったけどな。盾役の方が性に合ってる気がした」
なるほど。
ゲームの話にやたら詳しいとは思ったけど、相当やり込んだ口だったのか。
「それより昼飯何食いたい? 行きたい場所とかあったら早めに教えろよ?」
「今はまだそんな気分になれないけど……行けるなら海かな」
「OK、海な。調べとくわ。昼はそうだな~、なんか探しとく」
通話はそこで終わった。
私は時計を確認する。
7時。
母親曰く、9時30分には自宅を出るという。
私は家事に追われる母を手伝うため、部屋を後にした。
私と目が合うと、父は険しい顔をしたまま告げた。
「ちゃんと無事に帰って来たんだな。相手が帰したのか?」
「うん」
母が、父のお茶の湯飲みを片付ける。
そして私の横を通り過ぎる時、小さな声で告げた。
「化粧を落として今日はもう休みなさい」
私は頷き、踵を返して自室へ戻る。
背を向けた向こうから、父の深いため息が聞こえた。
心がチクリと痛む。
部屋に戻ると、私は武に自宅に着いたことを知らせる。
でもそれ以上の言葉は出てこなかった。
『無事に家に着いて安心した。おやすみ』
と武から返信が来た後は続かなかった。
それが武の優しさだと私は思った。
私はそのまま眠りに落ちた。
-*-
カーテンから漏れ出た朝陽が眩しくて目を開ける。
時計を見ると、日勤の時に起きる時間と同じだった。
6時。
携帯電話を見ると、武からメールが来ていた。
『おはよう。いま朝食会場に来てる。朝からすげー豪華でやべえ』
そのメールが妙に明るくて、私はくすっと笑う。
そしてすぐに返信する。
『おはよう。いいなぁ。私の分もしっかり食べておいてね!』
数分おいて武からもメールが返ってくる。
『もちろん。由惟も朝はしっかり食えよ?』
私は着替え、ベッドを整えた。
この部屋はこんなに広かったんだとふと思った。
-*-
父はその日出勤予定だった。
しかし、午前中は年休を取ったという。
新聞を広げ、カップに入れたコーヒーを口に含んでいる。
「なんで?」
「……そのスドウとかいう若造と会うためだ」
目元を腫らした母が何も言わずに目玉焼きと野菜が乗った皿を私の前に置く。横ではコーヒーメーカーが湯気をあげ、トースターからは程よく焼き目がついたトーストが飛び出している。
「交際するつもりなんでしょう?……今後も」
「うん」
「彼に伝えなさい。……親が出向くってね」
「どうして……」
私は母の言葉の意味が解らなかった。
ただ状況的には少し好転したのかと僅かな希望を抱く。
「ネットで知り合ったフリーターの男の何を信じて会う気でいた?」
「彼の人柄……、確かに彼はフリーターをしてるけど、それは夢があってのことだもん。真面目に生きてるちゃんとした人だよ!」
私は父の目を見つめた。
一睡もしていないのかと思うほど、赤く腫れた目。
心配をかけたのはわかってる。でも、ここは譲れない。
父は何も言わなかった。
「由惟がそこまで言うなら、それが本当か見せて貰うわ。その結果どうなっても、全部受け止めなさいよ?」
母が厳しい声で言い放つ。
私はコーヒーをマグカップに注ぎ、トーストを取った。
ハッキリと返事をすることは出来そうもなかった。
-*-
武に状況をメールする。
すると武から着信があった。
「もしもし? ユイユイ?」
「ユイユイって……パンダみたい」
「待ち合わせ場所は? 親御さんはどういう交通手段で来るんだ?」
「列車で三人で行くよ。武はホテルで待ってて欲しいって」
「わかった。……心配するな、後は俺のターンだ。後衛は任せたぜ?」
「なんでバトルに……。てか武のメインジョブって盾役だったの?」
「何でもやったけどな。盾役の方が性に合ってる気がした」
なるほど。
ゲームの話にやたら詳しいとは思ったけど、相当やり込んだ口だったのか。
「それより昼飯何食いたい? 行きたい場所とかあったら早めに教えろよ?」
「今はまだそんな気分になれないけど……行けるなら海かな」
「OK、海な。調べとくわ。昼はそうだな~、なんか探しとく」
通話はそこで終わった。
私は時計を確認する。
7時。
母親曰く、9時30分には自宅を出るという。
私は家事に追われる母を手伝うため、部屋を後にした。