True Blue Line ~君は僕のたった一つの宝物~
EP24
18時。
私と武は空港に着いた。
あと3時間――。
お好み焼きのチェーン店で少し早めの夕食を取る。
武は慣れた手つきでお好み焼きを綺麗に仕上げていく。
一方私は、すでにもんじゃ焼きなのかお好み焼きなのか判別が難しい。
「こういうところしっかり由惟だよな……なんつか、かわいい」
「うう……恥ずかしい」
「次に焼く時は俺に任せなさい。美味しい一枚にしたる」
「はぁい」
そう自信たっぷりに告げたはずだった。
なのに、出来上がったお好み焼きは、カタチは美しいものの微妙に焦げている。
「ん~、愛が強すぎた?」
「それな……」
「俺のやつのほうがまだましだから、こっち食べて」
「やだ。焦げたほうだってきっと美味しいよ!」
こんなやりとりをしていたら、店主に笑われてしまった。
私も武もちょっと恥ずかしくなる。
-*-
20時20分。
あと40分。
私達は、滑走路を見渡せる大きな窓の前に立つ。
濃紺の空にうっすらと見える青い軌跡と、ライトアップされた空港の滑走路が、光のラインを作っていた。
「夜の空港ってこんなにキレイなんだね」
「そうだな」
乗客を乗せた飛行機から、ボーディングブリッジが外される。
作業車に押し出された飛行機が、やがて自力で滑走路へ向かっていく。
「飛行機はさ……基本的に自力では後ろに下がらないんだ」
武が静かに呟く。
「そういうとこ、俺とよく似てる」
滑走路の手前で、飛行機はしばらく待機する。
数分の間を置いて、飛行機は滑走路をゆっくりと走り始めた。
そして、徐々に加速して――、一気に空へ舞い上がる。
大きく翼を広げた鳥のように。
もうすぐ武を乗せた飛行機もあんな風に空を羽ばたいていくのだろう。
遠い夜空の果てに向かって。
「由惟と出会ってから、空をよく眺めるようになったよ」
「なんで?」
「天気は違っても、同じ空の下にいるから」
「遠距離恋愛してるひと、よくそう言うよね」
「俺もベタな台詞だと思ってるよ。でも実際に体験してみると、この意味がよくわかるんだ」
私の視界が歪む。
ダメだ、泣いちゃだめだ。笑って!
そう思うのに、繋いだ手が離れると思うと心が張り裂けそうだった。
「俺はもうすぐ行かないといけないけど、由惟と同じ空を見てる。寂しくなったら由惟も空を見上げて、俺を思い出して」
涙を流す私の頬に、武は軽く唇を当てる。
そのままふたつの唇が重なる。
このまま時間が止まればいいのに。
そんな願いは絶対に叶わない。
「また由惟に会いに来る。だから待ってて」
武は私を一度強く抱きしめ、耳元でそう囁いた。
その言葉は魔法の言葉。
でも魔法には対価があるということを、私は知ろうとさえしなかった。
私と武は空港に着いた。
あと3時間――。
お好み焼きのチェーン店で少し早めの夕食を取る。
武は慣れた手つきでお好み焼きを綺麗に仕上げていく。
一方私は、すでにもんじゃ焼きなのかお好み焼きなのか判別が難しい。
「こういうところしっかり由惟だよな……なんつか、かわいい」
「うう……恥ずかしい」
「次に焼く時は俺に任せなさい。美味しい一枚にしたる」
「はぁい」
そう自信たっぷりに告げたはずだった。
なのに、出来上がったお好み焼きは、カタチは美しいものの微妙に焦げている。
「ん~、愛が強すぎた?」
「それな……」
「俺のやつのほうがまだましだから、こっち食べて」
「やだ。焦げたほうだってきっと美味しいよ!」
こんなやりとりをしていたら、店主に笑われてしまった。
私も武もちょっと恥ずかしくなる。
-*-
20時20分。
あと40分。
私達は、滑走路を見渡せる大きな窓の前に立つ。
濃紺の空にうっすらと見える青い軌跡と、ライトアップされた空港の滑走路が、光のラインを作っていた。
「夜の空港ってこんなにキレイなんだね」
「そうだな」
乗客を乗せた飛行機から、ボーディングブリッジが外される。
作業車に押し出された飛行機が、やがて自力で滑走路へ向かっていく。
「飛行機はさ……基本的に自力では後ろに下がらないんだ」
武が静かに呟く。
「そういうとこ、俺とよく似てる」
滑走路の手前で、飛行機はしばらく待機する。
数分の間を置いて、飛行機は滑走路をゆっくりと走り始めた。
そして、徐々に加速して――、一気に空へ舞い上がる。
大きく翼を広げた鳥のように。
もうすぐ武を乗せた飛行機もあんな風に空を羽ばたいていくのだろう。
遠い夜空の果てに向かって。
「由惟と出会ってから、空をよく眺めるようになったよ」
「なんで?」
「天気は違っても、同じ空の下にいるから」
「遠距離恋愛してるひと、よくそう言うよね」
「俺もベタな台詞だと思ってるよ。でも実際に体験してみると、この意味がよくわかるんだ」
私の視界が歪む。
ダメだ、泣いちゃだめだ。笑って!
そう思うのに、繋いだ手が離れると思うと心が張り裂けそうだった。
「俺はもうすぐ行かないといけないけど、由惟と同じ空を見てる。寂しくなったら由惟も空を見上げて、俺を思い出して」
涙を流す私の頬に、武は軽く唇を当てる。
そのままふたつの唇が重なる。
このまま時間が止まればいいのに。
そんな願いは絶対に叶わない。
「また由惟に会いに来る。だから待ってて」
武は私を一度強く抱きしめ、耳元でそう囁いた。
その言葉は魔法の言葉。
でも魔法には対価があるということを、私は知ろうとさえしなかった。