True Blue Line ~君は僕のたった一つの宝物~
EP02
時間の流れは速いもので、気が付けば私は46歳になっていた。
ある建設会社で正社員として働いて、かれこれ10年近くになる。
-*-
2026年4月17日、お昼休みのことだった。
私は観葉植物がある窓際のテーブル席に座り、日替わりのランチを食べていた。
そこへ今年27歳で入社してきた新人――永村琴音(ながむらことね)が、私を探してやってきた。
「仲崎さん……えっと、仲崎様! 是非お力をお借りしたいです」
「……嫌な予感がするんだけど、なにかあったの?」
「はい。ロッカーで三郷さんが仲崎さん案件だっていうんで……」
三郷恵美(みさとえみ)というのは私の同僚の名前だ。
私にめんどくさいことを押し付けてくることがある。
けれどもちゃんと適材適所はわきまえているため、名前が出ると仕方ないとも思えてくる。
話だけでも聞いておこうと私は琴音に話の続きを促した。
「で、私案件ってことは、仕事のこと?」
すると琴音の表情が少し明るくなる。素直だ。
こういう子は少し応援したくなる。
「すみません……違うんです。私、遠距離恋愛をしていたんですけど……」
遠距離恋愛、という言葉に一瞬、私は全身が固まる。
けれどもすぐに冷静さが戻ってくる。
驚いたことさえ誤魔化せるような声が、いつの間にか出せるようになってしまった。
「……何年ぐらいなの?」
「2年です……。でも、相手にブロックされちゃって……」
「そうなんだ。続きは仕事が終わってからゆっくり聞くわ」
「はい、お願いします!」
琴音は約束を取り付けると、足早に社員食堂を去っていく。
私はその軽い足どりを羨ましく思いながら、窓の外を見つめる。
ただ真っ直ぐに空を。
雲のない青空は、どこまでも高く遠かった。
そこから視線を少し下げて桜の街路樹を見つめる。
揺れる枝には薄紅色のつぼみが付いていた。
ランチに付いてきたコーヒーを飲みながら、私は20年前に思いを馳せた。
ある建設会社で正社員として働いて、かれこれ10年近くになる。
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2026年4月17日、お昼休みのことだった。
私は観葉植物がある窓際のテーブル席に座り、日替わりのランチを食べていた。
そこへ今年27歳で入社してきた新人――永村琴音(ながむらことね)が、私を探してやってきた。
「仲崎さん……えっと、仲崎様! 是非お力をお借りしたいです」
「……嫌な予感がするんだけど、なにかあったの?」
「はい。ロッカーで三郷さんが仲崎さん案件だっていうんで……」
三郷恵美(みさとえみ)というのは私の同僚の名前だ。
私にめんどくさいことを押し付けてくることがある。
けれどもちゃんと適材適所はわきまえているため、名前が出ると仕方ないとも思えてくる。
話だけでも聞いておこうと私は琴音に話の続きを促した。
「で、私案件ってことは、仕事のこと?」
すると琴音の表情が少し明るくなる。素直だ。
こういう子は少し応援したくなる。
「すみません……違うんです。私、遠距離恋愛をしていたんですけど……」
遠距離恋愛、という言葉に一瞬、私は全身が固まる。
けれどもすぐに冷静さが戻ってくる。
驚いたことさえ誤魔化せるような声が、いつの間にか出せるようになってしまった。
「……何年ぐらいなの?」
「2年です……。でも、相手にブロックされちゃって……」
「そうなんだ。続きは仕事が終わってからゆっくり聞くわ」
「はい、お願いします!」
琴音は約束を取り付けると、足早に社員食堂を去っていく。
私はその軽い足どりを羨ましく思いながら、窓の外を見つめる。
ただ真っ直ぐに空を。
雲のない青空は、どこまでも高く遠かった。
そこから視線を少し下げて桜の街路樹を見つめる。
揺れる枝には薄紅色のつぼみが付いていた。
ランチに付いてきたコーヒーを飲みながら、私は20年前に思いを馳せた。