True Blue Line ~君は僕のたった一つの宝物~

EP31

 武と繋がって4年目を迎えた、2009年3月18日。
 かねてから武が気に掛けていた通話ソフトを、私も自分のパソコンにインストールすることになった。
 これはパソコン同士であれば世界中どこでも無料で高音質通話ができるといった、画期的なツールだ。
 また、ウェブカメラを使えば画面には武の姿が映り、同時に声も聞ける。
 離れていても身近に感じられるものだった。

 前よりずっと繋がれる。
 近くに感じられる。
 それは私たちにとって良いように聞こえて、実は諸刃の剣の様なものだった。
 どちらかがどちらかに合わせる、その傾向を助長させる効果すらあった。

 実際のところ3つの勤務形態が常となった今は、武に会いたい時ほど逆に会えなくなっていた。
 だからか武は私のシフトを知りたがった。
 でも武のスケジュールだけは私に見せてくれることはなかった。

「俺が由惟に合わせたほうが、由惟に無理させなくて済む」

 そう言われれば、それ以上追及することは出来なかった。
 初めて会った2007年7月13日以来、会えない年も誕生日には武からプレゼントが届いた。

 -*-

 通話ソフトを使い始めてから3か月。
 2009年6月18日。
 やり方にも慣れてきたころのことだった。
 私は武に相談を持ち掛けた。

「今年こそは武の街に行きたい」と。

 武は喜んでくれるだろうかと、期待しながら。
 武は目を見開き喜んだ様子を見せた後、急に何も言わなくなってしまった。
 それどころか武は通話を切り、チャットに切り替えてしまった。

「ごめん、由惟が俺の元に来てくれるのは嬉しいけど、会いたいなら俺が行く」
「どうして? どうして武の街に私が行くのはダメなの?」
「言いたくない」

 その日、チャットもそこで止まってしまった。
 翌日はシフトの都合で武と繋ぐことができない。
 武からの拒絶が怖くて、私からはメールも電話も出来なかった。

「俺が行くまで待ってて欲しい、ごめん」

 そう言われれば私は待つことしか出来なかった。
 一枚だけ届いた年賀状の住所を頼りに、武を訪ねようか?
 そう考えたものの、まとまった休みが取りづらい今は動けない。

 それからしばらく、通話ソフトを立ち上げても武はカメラをつけなくなった。
 こんな状態でも繋がることだけはお互いに止められず、少しずつ生活が崩れていった。
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