ピカレスクに心酔
昨日の放課後、偶然にも立ち聞いてしまった仲間の本音。
想定外すぎて寝込むほどショックだった、というわけではないにしろ、傷つかなかったと言えば嘘になる。知らない間にできた傷だって、一度気付いてしまえばジクジクと痛み出す。
金曜日の今日、休んでしまおうかとも思った。でもできなかった。
朝起きて、普段通り忙しく動き回る母と新聞を広げる父、完璧な妹。その光景を見ただけで胸焼けがして、行きたくない、だなんて口にする気も失せた。
結局登校してしまえば、私は平然と笑うことができる。だから大して傷ついてもいないんだと思う。
挨拶は自分からした。ぎこちなく、気まずそうな顔で返された。
食欲はなかったから、昼休みは用事があるふりをして教室を抜け出した。私以外の三人で気兼ねなく過ごした方がいい。
何とか今日一日、耐えられたはずなのに。
部活だけはどうしても無理だ。足が竦む。みんなが私のことを疎ましく思っているのだと考えたら、「いい子」な私なんて意味がないしどうでも良くなってしまう。
「そっか」
いつの間にか視線は下がり、白い床を見つめていた。
単なる相槌のようなトーンで紡がれたそれに、拍子抜けする。
「じゃあ、一緒に行こう」