ピカレスクに心酔
正直、今の私は人のことを気にしている場合ではない、と思う。
そろそろ真剣に進路を決めなければならないし、部長になったことで部活のことを色々と考える必要もあるし、ユキたちとの関係は「気まずい」を通り越している。
問題は山積みだけれど、誰にもバレたくない。
進路に悩んでいると両親に相談しても、実里との地頭の差に打ちのめされるだけ。今後のバレー部をどうするかは部長の私が結論を出すべきこと。ユキたちに嫌われているなんて、それこそ誰に言えばいいのか。
端から人に頼る気もないのに、人の前で暗い顔をしたって意味はない。どうしたの? と聞かれてもどうせ、何でもないよ、としか答えられないくせに。
……ああ、そんなんだから嫌われるのか、私は。
笑っておくのが最適解だと信じて疑わなかった。今までずっとそうだったから、きっとこれからもそうなんだろう。
ユキたちに何を言われたって、笑おうと思えば笑えたはず。いや、実際に笑えていた。
『知ってた』
あの日、あの時。不覚にも涙が出たのは、他の誰でもなく坂井がトリガーだった。
悲しいからじゃない。私は、私のちっぽけなプライドをへし折られたことが悔しくて泣いた。なんて幼稚でくだらない理由だろう。
『俺は空っぽだから』