偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「……はい。行きたいです」
「そうか。よかった」
慧さんはそう言ってほっとしたように笑った。
その顔を見た途端、胸の奥がぎゅっとなる。
私が断るかもしれないなんて、本気で心配していたのだろうか。
そんなこと、あるはずないのに。
「って、デートって何するんですか?」
「船は好きか?」
「……ふね?」
「あぁ。船」
ますます行き先がわからなくなった。
そうして連れていかれたのは、最近就航したばかりのディナークルーズで話題になっている船だった。