偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「わあ……!」
港に停泊している船を見上げ、思わず声が出る。
「私、こういうの乗ったことないです!」
「だろうと思った」
「なんでわかるんですか」
「なんとなく。それに、俺も気になってたんだよ。うちとはまったく関係ないところがやってるから余計に。就航したって聞いてから、一度見てみたいと思ってた」
「それ、普通に仕事として気になってるだけじゃないですか」
「……そうとも言うな」
「もう。せっかくデートって言ったのに」
「悠里だって気になるだろ?」
「まあ……気になりますけど」
「だろ?」
得意そうに笑う慧さんがおかしくて、私もつられて笑ってしまった。
結局、仕事人間同士のデートなんて、こんなものなのかもしれない。
それでも不思議と嫌ではなかった。